学生OBと古稀の巨匠


月刊碁学1985年2月号より抜粋・転載

                          高野圭介

 


月刊碁学の企画  
月刊碁学(三木正編集長)1985年2月号に記載された
「学生OBと古稀の巨匠」という題で記載された宇太郎先生の3子局である。

これまでに登場した宇太郎先生との3子局では、
今年の県名人・坂井秀至君(11才)が快勝している。

さて本局は、大勢の方が観戦されたが、兵庫県囲碁界の縮図、
神戸財界と神戸新聞社のつながりの一端をかいま見る思いがした。

 雅永君略歴  
雅永君は1961年生まれ、父圭介氏から手ほどきされ、
小さいときから西村修氏の指導を受けている。
淳心学園から第1回全国高校選手権大会に兵庫県代表として出場した。
高校の後半はイギリスに留学。慶応大学商学部に籍を置き、
かたわら、緑星学園第一期生として菊池康郎氏に学んだ。

58年度、学生本因坊戦3位。学生十傑戦4位。
団体戦でも慶応大学に優勝をもたらしたことがある。
押しも押されもせぬ学生碁会のランキングプレーヤーであった。
現在、山一証券神戸支店に勤務中。

 宇太郎総帥評
 立ち上がり21手まで白がやや働いた。
黒22は感じが出た。

黒30に白は打つ手に窮した。宇太郎先生絶賛の攻守にバランスの取れた手。
黒60オサエは局後に黒の悪手として、もっとも厳しく指摘された。

黒78オサエは無用の手入れかと思ったら、一着の価値があった。
ゴールが見えてきたら、高野さんは危ない橋は絶対に渡らないという性格らしい。

裏 話
とはいえ振り返って、白60で、20の下にツケたら、どうなっていたか分からない、
うがった見方をすれば、白は勝ちに行っていないかも。とも。

・・・観戦記者の裏話・・・



橋本宇太郎 vs  3子 高野雅永

1984年11月2日 於 神戸新聞社応接室

170手以下略   黒8目勝ち