AlphaGo(GPU)とプロ棋士の頭脳対決に ITジャーナリズムの眼


韓国中が大騒ぎ、インターネット生中継同時接続65万人アクセス


                                       2016年3月29日

                                          趙 章恩 ITジャーナリスト

                                    高野圭介 編集

賞金100万ドル  
人間VS人工知能の頭脳対決」という見出しで騒がれた囲碁対局が、韓国で大騒ぎになった。



3月9日から15日までソウル市内のホテルで行われた「グーグルディープマインドチャレンジ」では、
グーグルディープマインドが開発した人工知能のAlphaGoと、
韓国人でランキング世界4位の囲碁棋士イ・セドル九段が対局し勝者には、
100万ドルの賞金が贈られる。

最強GPU  
 一般にGPUは、CPUより短い時間で大量のデータ処理ができる。
大体GPU12個が、CPU2000個を搭載した時とほぼ同じ性能を持つそうだ。
GPUはヘルスケア、自動車、金融サービス、ロボットなど幅広い分野で、
今の状態からこれから起きることを予測して
人間にアドバイスする人工知能に使われている。



こうした機能から、
韓国では「AlphaGoとイ・セドル九段1人が対決するのは公平な勝負ではない。
囲碁棋士数十人が対局しないと、対等とはいえない」という声もあったほどだ。

もはや敵無し  
それでも第4局で、イ・セドル九段はAlphaGoに勝利した。

韓国メディアは、「人間が人工知能に勝つのは、これが最初で最後かもしれない」と報道した。
AlphaGoは以前、中国出身の欧州チャンピオンの囲碁棋士と対戦したことがあるが、全勝した。

なぜ負けたかを自ら分析して学習し終えているはずなので、
AlphaGoはもう弱点がないはずという意味である。

GPUには並列作業を効率よく処理する何千ものコアが搭載されています。

簡単に言えばCPUは連続的な計算が得意で、
対して
GPUは並列的な演算が得意
という性質を持っています。

対局の成果  
イ・セドル九段は5回の対局を終えて、
「大いに楽しんだ。この敗北はイ・セドルの敗北であって人類の敗北ではない」とコメントした。
韓国では、
AlphaGoとイ・セドル九段の対局はAlphaGoが勝っても「人間の勝利」だという声も登場した。
人工知能を作ったのも人間で、人工知能に勝つのも人間だからだ。



また、イ・セドル九段が1勝したことで、AlphaGoはさらに囲碁の戦略を学んだと言える。
イ・セドル九段は、人工知能の研究にも大きな貢献をしたことになる。

趙 章恩紹介  
趙 章恩(チョウ チャンウン)

ITジャーナリスト。高校卒業まで東京で育ち、韓国ソウルの大学卒業後、
ソウル在住。日本経済新聞「ネット時評」、西日本新聞、BCN、夕刊フジなどに連載。

著書「韓国インターネットの技を盗め」(アスキー刊)
「日本インターネットの収益モデルを脱がせ」(韓国ドナン出版)
「講演などで日韓を行き交う楽しい日々を送ってます。
韓国情報通信部と傘下機関・IT企業の対日戦略リサーチ&コンサルティング、
日韓IT視察を企画運営するJ&JNETWORKの代表であり、
韓国で唯一、日本とのITビジネス交流を図る非営利団体
JIBC(Japan Internet Buisiness Community)の会長を務めています。