碁は生きている

新しいルールで次々生まれ代わる碁

                                                    高野圭介

 碁のルール
 碁はさまざまな約束事を守ることで成り立ち、
我々はそのルールの上で、碁を打って楽しんでいる。

 古来から、
その取り決めを当然としてルールが受け容れられているとはいうものの、
何千何万何千万という碁の中には、たまにはトラブルが生じ、
「両コウに仮生一」などさまざまな判定がされている。




人間社会同様
変わるルール


人間では
それは恰も我々が法の下に保護され生きている社会で、
社会の声・民意という大義名分を受けて、法律そのものも変えられていく。

これは沈潜した勇気ある法律違反が先行して、問題提起として
際どい実態を演出していく結果なのだが。

碁でも
 この新しくいったん決められた法は、仮にそれがそれまでの逆の判定でも、
あるいは何であっても「法は法なり」と、違反者は
ルール違反として「負け」という形で受け容れられない。

世界のルール
 日本の囲碁規約も中国から導入され、日本独特の規約が創られた。
同様に世界各所で独特のルールが制定されている。

 では、今世界各国のルールを提示しよう。

 日本ルール・韓国ルール・中国ルール・台湾応昌期ルール・
AGAルール(アメリカ囲碁協会)・世界アマ選手権ルール
・ニュージーランドルール・コンピュータ囲碁大会用の特別ルール・
インターネット対局ルール…etc.






各国各種ルールの主な違い


ルール名
 

計算方法

 
セキの地


 自殺手


コウ


備考

日本  地 × × コウ 日本ルール
韓国  地 × × コウ 日本ルール
中国  地と石 × コウ スパーコウは破棄
 AGA(米国)  地と石 ×  × スーパーコウ パス3回
 世界アマ 地  × × コウ  
INGルール 地と石 スーパーコウ 台湾
 N Z 地と石 スーパーコウ ニュージーランド
 KGSネット 地  × × コウ  準日本ルール

 問題点  
日本の「隅の曲がり死」「取らず三目」なども独特の不文律のルールであるが、
世界の碁のルール上の問題点は3つばかり。
セキの地・自殺手・コウ(スーパーコウ)などである。

中国ではルールに昔は「切り賃」というのがあったが、今ではない。 

 日本ルールでは、セキの地は原則として数えないが、中国では数える。

 スーパーコウ
おもしろいのはスーパーコウで、
同型反復の禁止(広義の循環形:3コウ、長生など)のことである。

一般的なコウのルールと違い、一つ前の自分の着手時の盤面とだけではなく、
対局開始からのすべての盤面との同形反復を禁止したルールのこと。
三コウの問題が発生しない。

 人とコンピューター
       
 
 今、人とコンピューターの打つ碁が話題になっている。
この対局は一つのルールに統一されなければ打てない。

今後世界ルールが確立されるためには、
コンピューターが打てるルールは実戦解決が前提と思うが、
今既にコンピューターは「スミの曲がり死」は理解しているので、
コンピューターが人間に擦り寄ってきているようにも思う。

 ローカルルールで統一  
 世界の碁は各国、若干の違いがあっても、碁は碁であって、
一つの対局の場では、その時のローカルルールで統一され、
何の支障もなく対局されるという特性があるのがおもしろい。