碁盤の中から手が出てくる

                                                   高野圭介


無心の境
今「龍馬伝/NHK」が面白い。



龍馬が江戸へ来て、千葉周作の北辰一刀流道場に入門した。
身体中アザや打ち身に耐えながら、
一刀流の形と構えや技などに取り組みながら剣に励む。

セリフの中に「
剣を持てば、左右上下前後、すべてを見る。
否、
すなわち何も見ない(無心の境)」と言われる。


碁才の発揮


そのとき、私にはかの、村上文祥と井山裕太の3子局がよぎった。

白57からの手順をここに提示する。

文祥さんの白の打ち回しは、左右上下前後、すべてを予見して筋の上を動いている。
これは、下手打ちの名人と言われている以前に、研ぎ澄まされた碁才の発揮であろう。

もちろん、
9才の天才裕太少年なればこそ、堂々と切り結び、切り抜けた。





天才!としか言いようのない

・・・盤から出てくる手・・

とくと味わって下さい。

 

 


地中に手あり


こういう白の手を昔から「地中に手あり」と言われているが、
驚きの眼で
「盤の中から手が出てくる」と言う方が臨場感がある。

並みの人では何も見えないが、
(無心の境)を行く名人・ご両人にはありありと見えているようだ。