定石ブラックボックス論

                                            高野圭介



定石問答

「定石も知らんと、よう碁が打てるなぁ。鉄砲持たんと戦争に行くようなもんや」

「こない言われましてん。はんまやなぁ、あかんわ。」



「先日、私の小目に目外しに掛かってこられましたんや。挟んで打つ定石がありますね。
まあ、誰でも知ってる、あの変化。私は後、放っといたんですわ。」

「どないなったん?」

「その人が言うには、何か打って貰わんと、打てへん。困ったなぁ」

「そやなぁ。定石を覚えたと言っても、相手在っての定石ですから、
相手が何も来なんだら、定石にもならんわなぁ」

「定石を知っている、と言っても、行く道順だけで中身が分からなかったら、
生兵法は怪我の元だね。」




ブラックボックス



ブラックボックス(Black box)とは、

内部の動作原理や構造を理解していなくても、
外部から見た機能や使い方のみを知っていれば
十分に得られる結果を利用する事のできる装置や機構の概念。

転じて、内部機構を見ることができないよう密閉された機械装置を指してこう呼ぶ。

たとえば、ソフトウェアとブラックボックスの考察がある。
この概念は、物理的な機構を持つハードウェアに限らない。
初期のマイコンではユーザー自身がソフトウェアを作成していたが、
今日のパソコンなどのコンピュータのユーザーは既成のソフトウェアを使用するのが普通であり、
使用するソフトウェアの内部を理解していることは稀である。
つまり、
ソフトウェアに関してもブラックボックス化が進んでいると言える。




更に失われた技術(ロストテクノロジー)によって作られた機械装置は、
ブラックボックスの中でも、特に解析が困難なものである。



債権の証券化の仕組みと闇の金

銀行業務と言えば、G−G(お金の売り買い)が主である。

金で金儲けをする時、やばい金ほどよく儲かる仕組みになっている。
たとえば、サラ金。この仕組みをアメリカの中央銀行が取り入れた・・・・。

アメリカには13の中央銀行があるが、その中央銀行は政府のものではなくて、
それぞれの州の銀行が拠金して創った業界代表の組織(FRB)である。
その中央銀行が債権の証券化で大儲けをする仕組み(ブラックボックス)を創った

世界の金融関係者はその口車に乗り、ごく普通の取引によって、
あるいは日本の農林中金のように半ば強制され、深入りしたのもあったが、
その破綻が発信地となって、世界大不況が勃発したわけだ。



定石の内部の動作原理や構造

定石を覚えるといっても、先人の手によって、どうしてこのような変化が創られてきたか?

その内部の持つ意味まで深く分からなくても、変化を丸暗記するだけが、覚えたことになっている。
現実の話として、定石の一つ一つを骨の髄まで理解して打っていることはあるだろうか?

既成の定石として打つことを、お互いに諒として対処している。
つまり、定石のブラックボックスは密閉されたままで、通用しているのである。




就中、江戸時代など、昔の定石など、偉大な価値を理解できぬまま、
古い!というだけで、もはや中身を知ろうともしないまま見向きもされない。


定石は原理原則のコーディネートされたものだ。


プロの世界では定石通り打たれることはそう多くない。
全局の布陣配置の中で、定石を超えた変化が起きているではないか。

定石は知って、捨つべし!