碁のだまし絵?

そんなの、ある訳はない・・・のがあるんだから・・・

                                                 高野圭介

 「だまし絵」
昔から「だまし絵」とは、上へ上へ行っていると、知らぬ間に下へ行っていたとか、
平衡感覚とか、左右方向音痴とか、

世の中に存在しないモノがデンと存在しているような絵画という認識であった。

  
碁のだまし絵?  
2009年芸術の秋の先鞭を切って、
開催された「わが目を疑え」というサブタイトルの「だまし絵」展には、
視覚のトリックを巧みに操った作品が100点余りがずらり・・・。

「だまし絵展」開催中・・神戸・県立美術館
・・・2009年秋

 
私はエッシャーの「昼と夜」に釘付けとなった。

碁の本質を衝いたような作品という衝撃を受けたのだ。
まさに、囲碁の白黒、ないし陰陽を
昼夜(day and night)に表現している作品である。

 
黒が攻める、白が攻める。両者の均衡が取れる、
片方が一方的に画面(盤上)を支配する。

碁とドッキングし、見る者の目をあざむくような仕掛けをもった作品で、
まさに興味津々!
まるで、囲碁の実戦さながらの形勢を暗示する作品だった。

白石と黒石
 エッシャーは白石と黒石の碁石までも用意していた。

まさに正倉院の
紅牙撥鏤棊子と紺牙撥鏤棊子・・・もどきである。


       

だまし絵に遊ぶ 
「だまし絵=Visual Deception」だからといって、
ただ単に、決して碁のだまし絵と言う無かれ。

絵画の鑑賞しながら、囲碁の世界に遊ぶ。何と愉快ではないか。