碁は壮大なドラマ




                                  高野圭介

 

 碁を考えるのに、囲碁哲学などがあるが、碁をいろんな角度で捉えて見ると面白い。

 基本的には攻めの体質が極上とはいえ、
やたらに餌にありつくようなゲリラ戦術に土留まっては笊碁の域を脱し得ない。
というより、笊碁そのものになってしまう。


ドラマの起点

碁はよどみなく変化する。
一手毎に新しい問題を投げかけてくる。
対応を誤ってはならない。さあ、局面のリードや如何に。

 碁の作戦に司令塔を作り、司令塔は状況を踏まえ、
ストーリーを立てて、立てたり崩したりしながらドラマが生まれ、
次々作戦の指示を出して戦ってこそ碁の玄妙に浸れるというものだろう。


 


囲碁十態・・・・ドラマの起点を考える・・・・


ストーリーがある
一局の碁にはストーリーがあるといわれる。

面白いストーリーには起承転結があって、
ストーリーを組み立てながら考える。

形の崩し合い
碁は形の崩し合いと言われる。

美しい形で、精錬された手筋で、碁は創られていく。
しかも、一人では編み上がらないで、白黒両者の共同創作である。

先取り特権
碁には先取り特権がある、

先手の価値の認識を新たにせねば。
敵に先に打たれたところは小さくなっている。

一着の価値  
碁には一着の価値がある。

一着の価値を減ずるのは、他の敵味方の石との
有機的な関係から、自ずと価値が決まる。

碁は矛盾
碁には矛盾する価値観がある。

しかも、時系列の中で、それぞれの価値は流動的に二転三転している。
だから、良い手がいつまでも同じ働きとは限らない。

碁はヨミ  
碁はヨミとヨミの戦いである。

ヨミの原点は「三手のヨミ」。ヨミが正当な筋で、正確で深く、
しかも、ヨミ込んだヨミを的確に判断せねばならない。

見合いの原理  
碁は見合いで打とう。

碁を打っておれば、どの時点でも、大きいところが眼に付く。
そこを見合いの原理で、慌てないで打てる。

石の効率  
石の効率が局面を引っ張る。

手割り、石の方向、緩んだ形、捨て石、間合いなどの中には、
効率の計算の基礎が基になっている。

中で繋ごう  
石は中で繋ごう。

制空権が近代戦争の華だ。自分の石が全部戦争に加わり、
相手を切って攻め、取ることさえ出来る。

碁は辛抱
碁は辛抱が肝要で、「後手の先手」がある。

確かに後手は後手に間違いないれども、見合いの理で
それが次の強力な先手となっている。