碁も恋も早いもん勝ち



                                               高野圭介

 先着されるな
 碁は手抜きされて、先に行きたいところへ先んじられて負けてしまうことが多い。

手抜きならともかくも、後手に甘んじさせられて、
先着されると言うのが気が付いたとき、切歯扼腕し、残念無念だ。



恋も早いもん勝ち
早く言うと、碁は早いもん勝ちの世界である。

早い者勝ちFirst come, first [best] served. と言うと厚かましいように聞こえるが、
先んずれば人を制すと言うじゃないか。

卑近な例で、デパートのバーゲンセールなど売り切れ御免で早い者勝ち。

商標登録など法律上でも出願競争の1秒でも早い者勝ちで、
負けたら経済上の損失もいかばかりか測りようもない位。

恋は早いもの勝ちというと、いちばん分かり易い。
身に覚えのある方々、さもあらん。

手も出せず鷹揚
恋となると何も見えず、分からなくなるぐらい早いもん勝ちと猪突盲進する。




碁は一手ずつ交互に打って、機会均等にチャンスは与えられている。
なまじ理性的と冷めた眼で見ていて、手も出せず鷹揚である。
これはあなたも私も同様である。

正念場に立っている
さてさて、
碁はいつも生きるか死ぬか、殺すか殺されるかの正念場に立っている。
恋どころでは無い。

どなた様ももう恋は卒業した頃と思うので、
せめて碁盤の上だけでも、早いもん勝ちに血眼になってみたら。