へえ六さん と、兵六先生


童話から抜き出たひょうろく物語



                                     高野圭介

童話の本  
孫が満5歳になった。
どうも、ここ須磨の我が家を別荘のように心得ているらしく、
折に触れ、泊まりがけでやってくる。

当家ではいつも、図書館で童話の本を数冊借りてきて用意する。
今回も、「ブレーメンのおんがくたい」「ノアの箱船」「花咲かじじい」や
「へえ六がんばる」他数冊が積んで待ち受けている。

私も全部一緒になって読むのだが、「へー、こんな話だったのか。」と
新しい感じで童話の中に入っていくのを知る。

へえ六がんばる


北 彰介・作 箕田源二郎・絵

「へえ六がんばる」のタイトルを見たとき、兵六玉を連想した。
「ひょうろく」=「ひょうろくだま」も「まぬけ」とか「おろか」のことと認識があったし、
「間抜けが何を頑張るのか」と本を広げた。




へえ、よごすの六介さん」から「へえ六さん」となった気の良いお人のことだった。

三好兵六句集  
私は「へえ六」が「兵六」と読めてきて、途端に、
今は亡き三好兵六さんのことろへ周旋されてきた。

話を以前に戻そう。

2000年頃上梓された川柳・三好兵六句集が手元に届いた。
何でも、須賀悦子さんが神戸の百人色紙展で兵六先生と一緒になって、
たまたま談囲碁に及ぶや、小生:高野圭介の話となり、回って、私の手元に届いたという。

兵六先生は神戸商大のテニスクラブの仲間で、我々は「みよっさん」と呼んでいた。

注:神戸の百人色紙展

神戸の芸術文化に携わる者の集いがあって、個性溢れる作品を
展示販売されるというイベントがあります。
2015年で45回開催となります。

 


その裏表紙にみよっさんの特撰句。   私には囲碁の句を贈られた。




観光地整形美人と言うところ       三好兵六


朝まだき花の須磨寺レンズ越し     高野圭介




兵六先生の「夫婦とは・・・」の句碑が須磨寺の山門の近くに建立されている。

 

兵六先生は作句の基本を様々な形で語っている。

「平凡に徹して、平凡を超える何ものかを求め続けていく。」

「平凡なことを非凡に詠ってこそ川柳の真価があるように思う。」

「一読してすぐ分かるような句を作りたいと心がけている。」

「普通の趣味は何の苦も無く捨てられるが、川柳は苦しんでも忘れられない。」

                                   三好兵六 識