敵と味方の急所

                                                  高野圭介


 敵の急所は
我が急所


碁吉会が創立20周年記念に「囲碁金言・名碁録集」水口藤雄編を上梓し、
記念品として、ご参加戴いた方々にお贈りした。

 その節、編集に際し、私なりに金言・格言を模索していた。たまたま
ご指導に与っている関西棋院棋士・丸山豊治五段がためらわず喝破された。

「私は、後にも先にも{敵の急所は我が急所}これに尽きます。」と。

その急所論が「格言ベスト10」第一席となったのだ。 



囲碁格言

ベスト10







 「囲碁格言ベスト10」

年末年初の週間碁(2012年1月2.9日合併号)に「格言ベスト10」が発表されている。



位 
 敵の急所は我が急所
The enemy's key point is your own.

張羽・謝イミン
2位 
 厚みに近づくな
Don't play near thickness

 高尾紳路
3位 
 厚みを囲うな
Don't use thickness to make territory.

万波奈穂
4位 
一間トビに悪手無し
A one space jump is never bad.

武宮正樹
5位 
切り違い一方ノビよ
When crosscut,extend

.
 楊嘉源・知念かおり
6位以降 
 死はハネにあり。ポンヌキ三十目。
アキ三角。2の一。などなど・・・


厚みについて
厚みについて私見を述べるならば・・・
厚みの周辺は敵も味方も軽々と打ってはならない。
つまり、上記の厚みに関する・・2.と3.が同じことを言っているように。

また、
厚みには計算外の不思議な魔力があって、碁は厚く打たねばならないが、
厚みを利用しようと周辺での活用がたいへんで、
何もしないでも後光を射しているような「無用の用的魔力がものを言っている。」
この辺りがとりわけ難しい。

 
中国の格言

 棋従断処生

碁は断にあり 

金角銀辺草腹皮 

一番が隅。二番が辺。中はまぐさ場。 
 韓国の格言  
妙手と悪手は紙一重

  
 
相手の地が大きく見えると負け



「囲碁金言・
名碁録集」
水口藤雄編に

記載されている
金言・格言から

三つ



「碁は勝とうとするものかと思ったら、お前らの碁は負けよう負けようと打っている。
自分の死にかかっている石をほったらかしにして、
向こうの殺せない石を一生懸命に攻めているのがそれだ。」

                            多聞丸(11歳、後の楠正行)




「何ごともダメだが、碁だけは妙に強い人がいる。
そういう人間が、万事に賢いくせに碁だけが弱い人に対して、
自分の方が智慧才覚にすぐれていると思い込んだりするのは、
おかしなものである」

                       吉田兼好(徒然草)


「籠もって窮(級)、切って断(段)」

                               高野圭介(cf:コモキュウカルタ)