羸  と 赢 (Ⅱ)

碁は盤数打てば、勝っても疲れる


                               高野圭介


碁は負けるが勝ちではない。という私の記載文で
输羸と勝赢の文字を混同していると、川口隆司さんからご指摘がありました。

川口さんは拡大した文字を虫眼鏡で見ると、察元本因坊による碁盤の裏書きは羸で、
これを秋山賢司先生は赢と取り間違えていた。というご指摘でした。

 


なるほど、そう言われれば、過日の訂正とお詫びの文章、難しい日本語だなぁと
感じながら読みました。ところが変な日本語では無いと分かりました。

では、私の早とちり?

 
そこで、输羸とか、「盤数勝赢」などを辞書で調べました。

は辞書では部首が羊でピンインléi、つかれる、よわい、よわる、やせる、柔弱・・・などの意味。
は部首が貝で、赢(贏)】ピンイン yíng。意味は、あまる、利益を得る、勝つ、勝利・・などなどである。

 
そこで、日棋の編集者のような解釈は、羸は羊が弱いから、負ける。赢は貝はお金、
財産を意味するから強くて勝つ。なるほど、そんなところかなと思いました。
 
        
 
 
ところで、「入門~仕事で使える中国語、新HSK対策講座、プチ留学、個人レッスン!
上海で中国語を学ぶならELC!」の中に、中国語のテストでよく出るのに間違いやすい単語集!
というのがあって、その中の問題です。

19.「負ける」という意味を持つ単語はどれ?
A. 戴   B.咳嗽   C.输  D.赢

19.の答え:C.=「負ける」という意味を持つ語は「输 shū」だ。
例:「东方跟我对了一局,输了。 Dōng fāng gēn wǒ duì le yì jú,shū le.」
で「東方は私と一局対決して、負けた。」
何回も输shūしました”って言ってると不思議と負けた気持ちになるんだナこれが・・・

その答えの中に、羸がありません。
つまり羸に弱いと言う意味はあるが、負けるというのはあるのだろうか?と疑問を持ちます。

 
碁は強くても負けます。羸(弱い)から負けるとは限りません。
弱くても勝つこともあります。弱いと負けるは別です。

中国の本場で調べないと分かりませんが、
もしかして、羸には負けるという意味は無いのでは無いか?と思うに至りました。

 ひょっとして、虫眼鏡で見た碁盤の裏の文字は羊で無く、貝の方では無かったのか?
とさえ思ったりもします。



 
赢の反対語は输です。つまり、勝ち負けで、分かり易い。

これだけの字画の多い文字で、一見して貝と羊を見分けることが出来るか?
といえば、無理でしょう。紛らわし過ぎる。

勝ったと書いても負けたと受け取られそうとはおかしな言葉だと、不審に思いました。


勝ち負け


だいたい紙一重の勝負で、負けたら、どっと疲れます。勝つと疲れも吹っ飛びます。
裏書きの文字が羊の「盤数勝羸」ならば
「盤数を打てば勝っても疲れる」ぐらいの意味ではなかろうか。

裏書きの文字が貝の「盤数勝赢」ならば、もちろん「打てば打つほど勝ちまくった」で名訳だ。