無手勝流と新定石 高野圭介 剣聖卜伝は初めて人を切ったとき、「刀に導かれて身体が動いた」と言った。 |
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卜伝の無手勝流 | 卜伝の伝記のひとつに「無手勝流」というものがある。 琵琶湖の船中で若い剣士と乗り合いになり、 相手が塚原卜伝だと知ったその若者が決闘を挑んでくる。 卜伝はのらりくらりとかわそうとするが、血気にはやる若者は卜伝が 臆病風に吹かれて決闘から逃れようとしているのだと思いこみ、 ますます調子に乗って卜伝を罵倒する。 周囲に迷惑がかかることを気にした卜伝は、船を降りて 決闘を受けることを告げ、若者と二人で小舟に乗り移る。 そのまま卜伝は近傍の小島に船を寄せると、若者が船を 飛び降りるや否や櫂を漕いで島から離れてしまう。 取り残されたことに気付いた若者が大声で卜伝を罵倒するが、 卜伝は「戦わずして勝つ、これが無手勝流だ」と言って 高笑いしながら去ってしまうというものである。 戦って勝つのも、戦わないで勝つも無手勝流。 つまり、こうと決まった勝ち方は無い。 |
雛形「定石」 | 碁には戦いの雛形「定石」がある。 囲碁の定石とは、碁盤の中の一部分(主に隅)における、 部分的には互角になるワンセットの応酬のことを指す。 打てると言うより、名人の打った変化がそのまま定石になっていく。 |
自然発想の手法 | |
左上隅 | 浜辺 荘碁友がその昔、 まだ定石なるものを知らない初心者の碁を見て、オドロイた。 白8とハネてきた。無い手ではないが、定石では無い。 よく考えてみると、ゆるまず、全く自然で素晴らしいと思った。と言う。 |
右下隅 | 黒13と、棒にツイだ。「碁歴40年にもなるこの人(材木商の社長さん)、 定石に無いから止めなさい、と言っても聞かないのです。 なぜ悪いか教えて下さい」と、稲田善治郎が言ってきました。 私は「定石に無いなぁ」と言ったままでした。 それから2〜3年経って、橋本宇太郎が同じく棒にツイだのを見付けた。 私は飛んで行ったが、当の本人はすでに墓に眠っておられた。 |
左下隅 | 白22まで、面白い変化です。呉清源発案の白の形。 もちろん定石にはありません。 実戦では西村修が打ったのを見たことがあります。 私はプロの指導碁で、難局か試みた。 「醍碁味」・・゜「星からの両付け」p.176 |
山下、頑張れ! | 井山裕太名人vs山下敬吾本因坊・注目の第4局 10月5日第1日目打ち掛けまで 井山が待望の高中国流を敷きました。 私は黒11ヒラキを初めて見ました。 山下が凄いところをデギリ。碁を難しくしたのでは?と危惧。 問題は黒45一間トビツケです。 上記左下隅・呉清源発案の白の形と同等の飛び抜けたHigh Grade! |
名人の自在 | 井山裕太名人が結城聡天元と対戦した第20期竜星戦決勝戦第2局。 「週間碁」2011年10月10日号p.1 高尾紳路は黒15を評しました。 「見たことはありません。新手ですね。名人に定石無しと言いますが、 井山名人が自分の好きなように打ちたい手を打っている印象です」。 |