ながら族との訣別

高野圭介

「一時に一事 
「ご飯食べながらよそ見しない」「一時に一事ってこともあるよ」などと
叱られたり、皮肉言われたりしたものだ。

プロのながら族 
     

 あるとき、

宮本直毅九段が徳島の新聞記者と、碁と将棋の二面打ちをされていた。
一局は3子局。一局は一枚落ち。そのながら族対局は結構楽しそうだった。

 関西棋道会で、橋本昌二九段が二面打ちしながら、けらけら笑われるので、
聞けば、隣・隣の碁を全部知っておられた。

橋本宇太郎総帥は大手合いで、
局後、瀬越憲作師匠に対局の報告をしたときのこと。

「ところで、前田君(陳爾)はどうだった?」と、聞かれるや、
隣のその碁をすらすら並べたという。

これらの天才群は素晴らしい「ながら族」だった。

80才からの生きざま

私はただ今全力で取り組んでいることがある。



80才からの生きざまのテーマ


1.一切の煩わしさから遠離り、のんびり悠々ムードを保つ。


 2.モーツアルトやベートーベンの音楽の恍惚世界に浸る。


 3.ホームページやブログなどのインターネットの世界に遊ぶ。


4.テニス・ゴルフ・山歩き等のスポーツで愉しみながら体調を整える。

 
5.囲碁という別天地で、幽玄の棋理に親しみ、棋友と語り合う。


 6.よく寝、よく食べ、よく排し、自愛に専念し、老病苦死に殉じる。


 言うは易し。  
言うは易し。

アメリカでウインドウズに後塵を拝していたアップルが、
起死回生と同時に、追いつけ追い越せとなった原動力が、
音楽主体の i pod であっことは衆知のことである。

私は上記の2.と5.加うるに、1.と4.を満足させるには、
まずは i pod の入手と心得て、導入した。費用は\100./1日程度である。

さて、楽しい音楽を耳から聴きながら、頭で碁を打っていた。
つまり、久々のながら族となった。

      

行うは難し
 

行うは難し

どうだろう、3日ばかり続けたら、頭の右上辺りが痛みだし、
偏頭痛持ちとなってしまった。

試行錯誤とは言え、
困ったことにとんでもない世界が忽然と現れてしまった。

ながら族は若者の世界で、
老境ともなれば、一時が一事族に鞍替えせねばと心得て、
身の程を知らされている昨日今日である。