「置碁と互先の碁」

                                                          高野圭介

山あれば 山を観る
雨の日は 雨を聴く
友来れば 碁を囲む

 対局数の謎
2009年の1年間、私はすべての打ち碁の回数を記録した。
前に「碁キチである以上、年に1000局は下るまい」と言われていたものですから、
躍起となって記帳した。

何と、340局ぐらいであったか。
1日1局にも遙かに及ばなかったのに驚いたのは自分自身だった。

内訳は、プロ又は互先の碁が1ヶ月数局。9割までが置碁。置碁の半分が井目碁。
つまり、置碁と互先を別に考えるようなことは出来ない。
年中毎回、シノギまくって打つ。




置碁と互先





 先日、手元に届いた「一碁一会」という小冊子に、
NPO国際囲碁交流会の森明巨さんが、
「置碁」と題して書かれている。

『ヒカルの碁』の一場面、ヒカルの置碁を見る藤原佐為のセリフ。
「置き碁は初めから20目、30目の地を相手に与えているようなもの。
ならば、尋常な手段で、地を奪いにいかねばならぬ。つまり、荒らしが巧くなる。
それは互先で生きてくる。劣勢の碁を払いのける力となって。」



藤沢秀行は

『碁に互先用、置碁用の打ち方があるわけはないが、
優勢な場合の打ち方と劣勢な場合の打ち方はあり、
これを置碁に重ね合わすことは出来るだろう。
形勢が悪いと、勝負手を放つか、辛抱して局面の打開を図る。』


碁は

 区別をしようがない


私はハタと、膝を叩いた。

私にとって、置碁も互先も、指導碁も、何ら区別をしようがない。
獅子が子兎を追う時も常に全力投球という。私も然りである。


集中力の欠如!


ただ、
老醜をさらけさせる歳が刻々とスピードを上げてきた昨今、
全力投球にも重大な局面が生じている。

2010年3月、中国は南京で、嗚呼・
打勺子!(タ・シャオズ=ポカを打つ)
ああ、
出勺子!(ポカが出る)と、肝心の所でポカによって2局失った。
負けもまた、良いが、負け方がある。

ともあれ、昨今、忘れっぽくなった!集中力の欠如!などの理由で、
全力投球に暗雲が漂い始めている。