本田邦久九段の「羚羊掛角」 高野圭介 |
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本田邦久九段と 記念対局 |
大阪の32回保健医囲碁大会で、優勝できたご褒美の副賞として、 本田邦久九段と記念対局が用意されました。 (対局は11月28日に済みましたが、棋譜は後日) もう30年も前、先生がNHK囲碁選手権で優勝され、 記念に、宍粟の山奥・三室山に二人で登ったことがある。 その夜、千草カントリ−クラブに投宿し、先生の揮毫を戴きました。 それがこの「羚羊掛角」の扇子です。 私は30ぶりの対局に際しまして、 扇子を持参し、「羚羊掛角」の意味を伺いました。 先生は「要は用心深く・・ということです」と言われたのです。 |
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本田先生の 学友の吐露 |
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道元 「正法眼蔵」の研究 ・「圜悟禅師語録」 巻19より。 |
盤走珠、珠走盤。 偏中正、正中偏。 羚羊掛角無蹤跡、 猟狗遶林空?蹈。 盤、珠を走り、珠、盤を走る。 偏中正あり、正中偏あり。 羚羊角を掛けて蹤跡無し。 猟狗林を遶りて空しく?蹈す」 |
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羚羊の角 | 羚羊の角は鹿のようなものを想像していましたが、 写真のような枝分かれしない角のようです。 |
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羚羊掛角の注釈 | 羚羊角を掛け、跡の求めるべき無し。 羚羊(れいよう)角を掛けて蹤跡無し: かもしかは眠る時、角を枝に掛けて跡を残さない(と言われる)。 羚羊の角を掛けるが如く、技巧が目立たないようにします。 羚羊掛角の意味は 詩文が、技巧を感じさせないほどたくみで、世俗の気風から脱していること。 [注記]「羚羊」はカモシカ。カモシカは夜ねむる時、木の枝に角を掛けて 足跡を残さないという。そのような痕跡が分からないようにする。 そのように、捉われのない悟りの境地に達した人の言葉を理解することは難しいと。 |