銀メダルの栄冠



                                                      高野圭介

 金メダル  
 オリンピックと言えば、金メダル。最高の色だ。
金メダルに賭ける思いは各人それぞれ違っている。

 金でなければ、銀以下はすべて同じで、意味が無いと言い切るアスリートも居るが、
通常は、メダリストにとってはどの色でも羨望の的である。

もちろん
金・銀・銅のメダルは三者とも至難で、当然、別格。



二種類の戦い  

 一口に金・銀・銅と言っても、
戦いの方式にはトーナメント方式と、時系列方式の二通りある。

トーナメントでは、3位決定戦の試練の後、銅が決まる。
 時系列は予選の有無しで、本戦の有無しが大きな意味を持つ。
つまり、本戦入りそのものが、すでに薄いメダル色。

ただ、第1回近代オリンピックでは優勝者に銀メダル、
準優勝者に銅メダルが贈られたのだそうだ。

銀の二つの顔 
     
 
トーナメントでは、金と銅が「最後に笑った者」だ。
その点、銀と4位は「最後に泣いた者」だ。

その点、
「金と銅」と「銀と4位」はよく似た環境という同質の賞なのである。

 したがって、銀には二つの顔があって、
泣きの入ったままの銀と、手放しの喜びの銀とに分かれる。

泣きの銀は、金メダルに届かず、銀メダル獲得が多い選手は
シルバーコレクターと言われることがあるそうだ。

銅は一回は破れていても、最後に勝った余韻が、表彰台に続き、
不思議なことだが、金に酷似するほどの快感だけが残っているものだ。

 金以上の銀
銀メダルといえば、なでしこジャパン。

優勝候補が優勝できるというのは、実力+精神力。
並みの心構えだけでは運命の女神は微笑んでくれない。

    

ナデシコに銀メダルを掛けたのは、男の中の男・
ジャック・ロゲ(ローグ)Le comte Jacques Rogge

金よりも最高に輝いたひとときだった。
 
金と銀  
 日本の体操総合では、審判の不手際から「4位から銀へ」変わったが、
これなど、無から有への転換で、滅多にない大感動!

やはり銀は銀以上の銀で、銀以下の銀ではない。銀も凄い。



 私たちは天下のメダリスト「金・銀・銅」の栄冠者を
レハールのワルツ「金と銀」で祝福しよう。