よくい生きることはよく死ぬこと

  『神主学徒出陣・残懐録』の読書感に代えて

                                                                高野圭介

 

上杉千郷





『神主学徒出陣・残懐録』上杉千郷著・
神社新報社が恵送されてきた。


貴様逝き俺は残った特攻の

負い目背負って今も生きおり

                   上杉千郷

いわゆる「特攻隊」として志願しながら、
終戦と紙一重で、いとしい人達のために

散華する特攻が不首尾に終わった
残懐の心情を綴った記録である。


 人生のセイムスケール
人生を生きてきた時の長さで追うのではなく、
誰もの人生を同じ箱に入れて、人生の充実ぶりを問う。
その手法を「人生のセイムスケール」と言う。

つまり、「存在と精神の箱」を作るのです。
この「人生のセイムスケール」は「私書箱」であり「死所箱」であり、
バイボ(Biographic Box)」略してバイボ。
この「形式」こそがセイムスケールなのです。


注:「人生のセイムスケール」のことはユリウスさんが詳しい。
http://ikiiki.livedoor.biz/archives/6536944.html

 
幕末の若者
特攻隊に散華した若者の生涯を、遡って、幕末の若者に限って見れば、

「反幕派の吉田松陰は安政の大獄で斬首され、29年2ヶ月と1日の生涯。
坂本竜馬は33才11ヶ月。竜馬とともに薩長同盟の実現に努力した
中岡愼太郎も、竜馬と京都で暗殺され29年7ヶ月と4日の生涯を閉じた。

幕末の京都に名をとどろかせた新撰組を組織し、
初代隊長となった水戸藩浪士・芹沢 鴨は近藤方の手で謀殺され33年?の生涯。
その芹沢暗殺を命じた新選組の局長・近藤 勇も官軍に抵抗して捕えられ斬首された、
33年6ヶ月と16日の生涯だった。」 

坂本竜馬
紫綬褒章とか、ノーベル賞は超高齢者しか該当しないが、

この中で、「竜馬伝」の坂本竜馬は28才の脱藩から33才で暗殺されるまでの
僅か5年間がハイライトであり、彼の生きざまをセイムスケールで追うと、
いかなる褒賞をも超えた高い評価が出来るだろう。
 
 人生の四苦は 生病老死
「人生で一番重いものが死ですね」

「人が死んでしまったら、きれいに抹消されるんですね」

「生きてるのと、全然違う。不思議な程忘れられる」

「でも、如何に短くてもますます輝いてくる人生もある」

「人生の四苦は生病老死と言われます」

死を考えることは生を思うこと。生は死の表裏。死即生。生死一如を宗教とか、
人生哲学として、受け取りたいと思っている。

日本の特攻隊は死を賭して戦い、良く生きた。 

老人に大切な 傷病老死
老人にとっては傷病老死が大切なのですね。

「へー、生が傷もあるとは想像もしなかった。傷は臨床的な感じがするが」

「うーん、それでええ。歳いけば怪我もし易い。
これからは、難しく考えずに、怪我しないよう、病気しないよう注意して、
動けるだけ動いて老体を大事にせにゃ」

「そうだよ。この歳(80才)になって、囲碁と体力づくりの2点だけに集中して生きる。
なるべくなら右顧左眄しない。

そうしてよく生きたら、良き死・よき生きざまとなることを信条としたいと思わにゃ」