あほな



                                     高野圭介

 
天満の繁昌亭   
天満の繁昌亭へわはわは笑いに行ってきました。

豚インフルのおかげで、隙すきの上方落語、と思ったら、
どこかの接待グループがあって、そこそこの入り。

 ポンポコの口車
上方落語協会情報誌「んなあほな」を売り子・ポンポコの口車に乗って買う。

口上は「帰ってから「しもた!買っとくんじゃった」と言うても遅いぞ。
「こんなしょうもないもん買うてしもうて、アホな!」という人はタダで下取りしまっさかいに!と。

 耳に合わない
前座から、手を代え品を代え15分刻みの寄席が始まった。

その内に、老齢化の芸人の出番。声が小さい上に、
マイクからちょっと離れていて、ちょっと聞こえにくい。
それでも、観客はわはわは笑っている。

全身耳にして、身を乗り出したが、やはりダメ。
「もう、ええ加減にせい」と、眼をつむってしまった。

 更に、次の方も、同様私の耳に合わない。
私はいつの間にか、とろとろ・・・すやすや・・・グーグー・・・


 グッスリとお休みに  
眼に止まった「んあほな」の一節。

九雀「お客さんが、お昼ご飯を食べて、暖こうなって、グッスリとお休みになる。
そこへ私にたいな落語家が出てくると、大きい声で起こさんようにしゃべるのが辛い辛い・・・」

雀松「しかし、まあ、それが寄席らしいと言えば、寄席らしいところやし、ええ勉強になるよ」

雀三郎「・・・そんなん、起こしたらあかんの?」

九雀「まあ、芸の力で起こせたらよろしいけれど、怒鳴りつけてはまずいでしょう(笑)」


三枝のご挨拶   
あほなには、桂三枝のご挨拶がありました。

「重厚な芸が続いても退屈ですし、軽い笑いばかりではもの足りません。
かしおのずからたんちょう、が良いのです。」とありました。

 何と、これは「かしおの、ずから、たんちょう」で、
「下肢尾の頭から丹頂(鶴)」で、丹頂鶴の美しい形態を言ったものか?

しかし、
かしおのずからたんちょう」は「花枝自短長」で
バランスよく、いろいろあるのが良い、ぐらい。


ああ、これは。めあき千人めくら千人と同じく、いろいろあるのが良いぐらいか。

 たりの、たりかな・・
さて、六甲山の旗振山に立っている句碑。

春の海ひねもす、のたり、のたりかな   蕪村

春の海ひねもすの、たりの、たりかな   嘘村

おお、
たりの、たりかな・・って、とあたまがおかしうなってくる。