上手と下手の対照

 上手の石は恰も舟を行るが如く、下手の石は繋がれた舟の如し。



「手筋辞典」より

瀬越憲作     
呉  清源  共著



大いに反省させられる18ヶ条。

私の反省点!があちこちに散見させられる



2.ノータイムで打った失着が敗着になったことが多い。
6.後手と本手、先手と間に合わせの手問題は又、手抜き論。
13.局面を広く、狭く、の問題は、形勢判断に依ることが多いのか。
14.白だろうが、黒だろうが、トコトンやらんと気が済まん、アマの意気!

 
1
上手は頭で打ち、 


 下手は眼で打つ。

2
 上手は充分考えて後石を下す。
故に、いかなる場合にも待ったをしない。


下手は打ってから後に考える。
自然に待ったをするようになる。

 3  
上手は戦わずして勝たんと欲し、


 下手は戦って勝とうと思う。

4
 上手は負けないことを信条として打ち、


 下手は取ることを目的として打つ。

5
 上手は常に攻防兼備の手を択び 


下手の着手は兎角その一方に偏す。

6
上手は先手を争い、
 

 下手は後手に甘んず。

7
 上手は筋と形を貴び、


 下手はダメを詰める。

8
 上手は捨石を惜しまず


下手は一目も捨てぬ。 

 9  
上手は累いの他に及ばんことを恐れ、


 下手は唯生きんことを欲す。

10  
 上手の石は恰も舟を行るが如く、


下手の石は繋がれた舟の如し。

11
上手は、コウを利用し 


下手はコウを怖る。
 
12
  上手は敵の疲るるのを待ち、


下手は敵のつまずかんことを希う。

13
上手は黒を持ちては治まらんことを欲し、
白を持ちては乱れんことを欲す。


下手は黒を持ちては取らんことを欲し、
白を持ちては潰されんことを欲す。

14
上手は黒を持ちては数目の勝を理想とし、
白を持ちては一目の勝に満足す。 


下手は白を持ちても
いくらでもたくさん勝ちたい。

15
 上手は考えて後に石を持ち、


下手は石を持ってから考える。

16
 上手は投げる時期を選び、


下手は最後のトドメを刺されるまで打つ。 

17
 上手は決して負け惜しみを言わず、


下手は負けると愚痴をこぼす。

18
 上手は負けても腹を立てず、


 下手は負けると腹をたてる。