九段が多すぎるぞ

明治の気骨・伊井国雄論旨

                                                     高野圭介

伊井国雄さん
伊井国雄さんからの年賀状に近況が記されている。
要約で申し訳ないが、一部を紹介しよう。

「2004年2月に92歳になります。病後を養いながら囲碁に明け暮れ、
ともあれ無事に過ごしていますが、やがてお迎えがくるようになるでしょうが
、囲碁に関してだけ衰えを感じないところがあり、不思議に思っています」


「九段が多すぎるぞ」


『文藝春秋』


伊井さんは但馬の人。静岡在住ですが、
棋力は静岡県のタイトル7回という実力者。
元警察署長で、堂々たる一言居士。

記憶に新しい方もいらっしゃると思いますが、
伊井さんの卓見「九段が多すぎるぞ」は
『文藝春秋』1990年9月号に記載されて
日本中に一大センセーションを巻き起こした。


「段位制に警鐘」


『すざら碁仙』


縁あって、碁吉会編纂の『すざら碁仙』p.30.に「段を考える」を投稿して
囲碁界の段位制に警鐘を鳴らしていただいた。

曰く、
プロ九段の吹き溜まり(当時ほぼ100名の九段)・
アマ6段の吹き溜まり論から
「九段になったら大手合いに出ないこと。降段制がないこと。」
などの問題点を衝き、
新しい昇段制度の導入を提唱されていた。


2004年1月現在

プロ界の段位制

現今のプロ界の段位制を俯瞰するに、

2004年1月現在では日本棋院79名関西棋院34名計113名。暫増である。

もちろん現在では日本棋院では、資金的な棋院の運用面からか、
基本的には現行の段位昇段規定は廃止に近い。

昨今すでに段位制の新機軸が打ち出されており、十年一昔の感がある。


日本の新昇段制
また、関西棋院も日本棋院と歩調を合わす形で検討されてきた。

ようやく、2004年10月から現在の大手合いは廃止され、
新しい昇段規定が設定される。昇段に関する碁は新聞棋戦に限られて、
勝ち星だけで負け碁数は問わないで、昇段する。
ただし、降段規定には触れないで、設定しない模様。

ただし、
今の段位はそのままで進行するから、しばらくは移行期間であって、
いよいよの結果は4〜50年も先に真価を問われることになる。


中国の点数制
また中国では全棋士272名のランキング表が毎月公表され、
2004年1月1日現在ではトップは2758点の古力から末席は2089点である。
cf: http://www.weiqi.cc


アメリカの点数制
U S Go Congress で、アメリカの元チャンピオン・Ned Phipps と打った。

公式手合いでなかったが、対戦直後、これにサインせよと言う。
それがアマの AGA Rating System であった。
オールアマのランキング表が一局一局、刻々と変化しているのだ。