バランスの良い安全第一

                                   高野圭介

 先日のJR尼崎の脱線事故には寒気がした。
 どうも安全と正確の綱引きであったのが原因のようだ。
90秒の遅れを取り戻すために、安全が失われた、と聞く。
世界でも時間厳守 pancture first は日本がダントツだそうだ。

 思い出すのが、その昔、50年も前の、朝日新聞の入社試験問題である。
「報道は正確か速さか」を問うた。
正解は「速さ」と、報じた。
何かあったら、不正確でもいい。とにかく第一報を!というのだ。
次々新しい情報を修正しながら送るべしの由。

毎日碁が頭の片隅から離れない私にとって、碁もだが、
碁吉会も日ごとに私の中にめり込んできているのが分かる。

そう言った場合、碁の安全は眼形!というのがピンと来た。
昨今、囲碁格言カルタを創作した。
その中に、碁の安全第一のための格言を拾ってみた。

直接「目」のことを言っているのは

(ロ) 論ずるよりも 生きてなんぼ 

(ル) 流浪の旅路 目なし石    

 (レ)連絡一番 目作り二番      

 (メ)目あり目なしは カラの攻め合い


その他のも、結局は眼形に関するものが断然多い。
つまり、碁は安全第一なのである。

でも、碁は安全だけでは勝てない。効率というものがある。
石をツナイでも、ダメを打ってばかりではダメだし、
正確なヨミの裏付けによる変化が要る。
また、理外の理、気合いも大切だ。

ただ、眼形豊富も、戦いに強いのも、reasonable な石の姿が
 バランスの良い安全圏を確保してくれている、と、判断したい。