「青信号の道」

                        高野圭介 


赤は止まれ 
 子どもが幼稚園に行きかけた頃。
 助手席に子どもを乗せてのドライブである。
青信号を進入、左折した途端、「アカン!赤は止まれや」
「止まれ!止まれ!」と命令が飛んでくる。
 二.三回同様のことがあって、また四差路に進入したら、
子どもはもう左の赤信号ばかり見ている。
強行突破?したら、泣き出した。
「止まらなあかんのやで。何遍も言うとるのに」と叱られ、
 あほらしいやら、しんどいやら。

「青は行け」じゃが、「緑は何じゃ」と、へそを曲げたが、
「この色(緑色)は青やで」という。どうにもならん。
赤緑色盲というのは聞くが、青緑色盲は聞かない。
未だに、青と緑をまぜこぜに使うのが分からないままだ。

 
黒目の金髪
髪は烏の濡れ羽色というのを緑の黒髪と言ったりしていたが、
今の世は赤毛のアン風か、黒目の金髪かが流行の先端。
先だって、丸刈りで10ミリばかり伸びた頭の少年に出会った。

「わー、金髪だ!凄いなぁ」と思ったが、
凄いおしゃれというのか、やはり流行かなぁ。
耳に穴を開けて、ピアスとかいうのか、鼻の穴の真ん中に
牛の鼻輪のようなのを付けて闊歩している。
なかなか!ほっぺにもぶらぶらだよ。

 ほっぺと言えば、かって田舎の子どもが絣の着物に草履を履いて
・・ほっぺを真っ赤にして・・鼻水を垂らしていた・・その鼻水で、
袖口が固くなって・・光っていた・・こんな光景があったっけ。

 「黄色い声」
 真っ赤な真ん丸は日の丸。日本人好みだが、
先日紋別市に出入りするロシア人は真っ赤な星の形が
大好物なのだそうだ。共産系はだいたい赤色好み。

 色でなくとも色気の色とか色がある。中国の運動会には真っ赤な旗と
どんどんじゃんじゃん銅鑼の音が付き物で、黄色い歓声の応援も賑やか。

応援団から沸き上がるソプラノを私が「黄色い声」と言ったら、
黄色い声は日本の「桃色」を連想させる色だそうだ。
イギリスではこの桃色はスカンタコの色で、
大好きなのはユニオンジャックのブルー。
 
紫系のお召し物 
 日本人の好む色はというと、私は「紫」じゃないかと思う。
紫は高貴の色で、病気の色。 かって着物の商売をしていた頃
紫系のお召し物はだいたい当たりはずれがない。

安心して仕入れていた。
 
流行色 
  しかし色には流行がある。歌は世につれ世は歌につれと同様、
毎年流行色の変遷が、天気予報みたいに予報される。

日本流行色協会JFSA (Japan Fasion Color Association)という
色彩情報機関が流行するであろう色を司るジャンルのお目付役となり、
アンケートを取ったり、市場調査して先々の流行色を決め、
曰く「2004年の流行色は××色」と発表する。 

万年流行色
 自動車、繊維などは色が当たらなかったらと、神経を尖らす。
他の業界のことは知らないが、洋服などは
黒・白・赤・流行色・その他がそれぞれ1/5づつ。
だから、流行色全盛の時でも、黒・白・赤は決して疎かにしない。
この3色は廃らない万年流行色・隠れた万年ベストセラーなのだ。

 
 赤の染料
赤など、どんな素晴らしい素質を持った新繊維が発見されても、
赤の染料が染まらないものはお蔵入りで没となってしまう。
例えばナイロン。これはナフトールの赤がぴったりだった。
後は衆知の通り、最高の素材となった。

青がない薔薇 
秋の花の本命は薔薇。もちろんいろいろあって、
無視されたら、忘れてはいませんかとお叱りを受けそうなのが菊。
この二者の共通なのは「青がない」ことだ。
 薔薇など「赤じゃなくて、少し紫かな?」と思うようなのにも
「××ブルー」なんて名前が付いている。

  
青信号の男 
この世に「青二才」は居ても、大手を振り振り人生を歩む
「青信号の男」など滅多にいない。

卑近な例は差し置いて、坂本龍馬などがその典型と思いたいが、
普通の緑二才には、道路公団あたりに、青信号の道を作ってもらって、
胸を張って青信号を真っ直ぐ突ききって歩みたいものだ。