上達と下達 高野圭介 |
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上り下り |
坂道の上り下りは足の感触ですぐ分かる。 列車の上り下りはとても分かり良い。 海上も万国共通右側通行だが、河川には上り下りがあって、 それももちろん右側だろうと思っていたら、 ♪春のうららの 隅田川〜のぼりくだりの 船びとが〜 滝廉太郎のメロディに、情景が目に見えるようだ。 |
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アガリとクダリ | 片や、役人上がり。片や、天(アマ)下り。 リタイアの官吏でも、アガリとクダリとはこうも違うのか。 上がりは双六上がりのようだが、下りは何か美味しそう。 |
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上がるも速し 下がるも速し |
スポーツの世界ではシュンというものがある。 プロというのはごく短期間に上がり続け、ピークの栄光の後、 何の、どこがどうだか分からないまま下り始める。 そして三下り半に繋がる? これは栄枯盛衰というか、自然の理である。
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入れ替わり |
囲碁の世界でも、トップの座は十年ひと昔というが、 十年も経てばほとんど入れ替わっている。 棋士の棋力とて、どれぐらいがピークの時なのだろう? とは言え、新進気鋭は続出している。 入れ替わりのスピードも速い。 |
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上達の中に 下達あり |
人のことを言うまい。 かく申す自分の棋力について、永の年月の間に、 追い風、向かい風、順風、逆目、障害、.いろいろ感じてきました。 一目強うなったと感じることが 百回あって、全然そのままであったりして、 当然とは言え、哀しくなったこともあれば、 いつの間にか、打ち易くなったと手応えを感じたとき、 少し手が上がっていたこともある。 昨今のスタミナの減退やもの忘れの物差しを当てれば、 今すでに脳味噌の皺にじわじわアイロン掛けが 始まっているのに気が付いている。 老いの坂に下り坂、上達の中に下達あり。 その思いを馳せる。 弁証法の教えるところである。 |