人間碁in鳳凰城

                       高野圭介

毛沢東が「長城に到らずんば好漢に非ず」と言ったように、
万里の長城は、日本の「伊勢詣り」のような存在である。

揚子江の南の河南省西部には南方長城と言われる「鳳凰城」が現存し、
北方の万里の長城と同じく山の稜線を峰から峰へ長城が連なっている。
私は「南方長城」は寡聞にして知らなかったが、
(帰国後、旅行社に聞いたが、彼も全然門外漢だった)
 そこは土家族自治県で、かって私が張家界へ行く途中、
土家族の部落でお茶と干し肉を土産に買った記憶があるが、
とても鄙びたところである。

 2003年9月18日の宴会に王汝南中国棋院院長から聞きしたのが、
「人間碁」のパフォーマンス。

 方法としては、日本の天童で催される「人間将棋」のそれで、
中国でチェス、中国将棋などはすでに経験済みだが、
囲碁の世界ではもちろん世界で初めての試みで、
四阿で打つ碁を直ちに 33m四方の広場に表す。
武術家が出演、白黒の服装と傘を頭に付けて動かない石になる。
これをヘリコプターで空中撮影しながら、
二時間のテレビ放映をする、というお話だった。

勝者2万USドル、敗者1万USドルの賞金で、
持ち時間一人50分打ち切りという早碁である。
おそらく、賞金だけで四百万円近いから、総費用は
ン百万円かかったのではと推測するが、
これも王先生のパフオーマンスであったのだろう。

 したがって、翌19日に王院長は関係者十数人と
チャーター機で御地に飛んで、総指揮をとられた。

 放映当日は馬林さんも私も中国棋院でテレビに釘付けだった。
当21日は生憎小雨だったが途中で上がったようだ。

対局は中国・常昊九段と韓国・曹薫弦九段の
当代随一人気一番同士の対局となった。
テレビでは解説者・華以剛九段。
傍らの広場で、常昊九段の奥様・張八段が
世界のアマと八面打ちを披露されている。同時に
 インターネットの碁・新浪(sina)でも、平行して棋譜を写し出し、
チャットの会話が飛び交うている。
観戦の馬林さんもチャットでエールを送っている。
あちこち忙しい観戦だった。
 2時間はあっという間に過ぎた。

局面は曹薫弦九段の優勢のまま終盤へ。
最後まで差は遂に縮まらなかった。。