尻取り一事

ーーひとつこと考ーー



                                                 高野圭介


ど忘れってことがある。
人の名前なんぞ、咄嗟に出てこない。
覚えなきゃ忘れなくて良いなどと嘯いている。

その昔は、自分も発想豊かな「ながら族」だった。
あれしながら、これをする。それが、とんと出来なくなった。

一つことに専念する・・・しかない。

一時に一事
一つことに区切りを付けて、次に掛かるべし。

すなわち「一時に一事」が生き方の原則だ。
あるいは「一事徹底」とも言うべきか。


一事が一事
一つことには「一事が一事」もある。

一事を興すは、一事を省くに如かず、の義だ。

一事が万事
と、思っていたら、「一事が万事」

一つ巧くやれる人は、たぶん他のことも、そうだろう。
一つのへまは、きっと、他のこともへまだろう。
「一事を見れば、他のすべての事を推察できる」

とは言え、
一事が万事の推測・推察を過信してはならないという
危険性も表裏してある。


人間万事塞翁が馬
と、思っていたら、「人間万事塞翁が馬」

一つぐらいへまをやったからといって、
くよくよすることはない。

へまと見えることは、将来どれほど素晴らしいことなのか、
好事魔多し。それが今、分からないだけだ。

碁の打ち方 一時に一事
碁の打ち方に、思いを馳せた。

先ずは活きの形を整える。

一事が一事
攻めるも守るも重大な要件。

地ばかり、がりがりため込んで、
籠もらないよう、中で石をツナグ。

一事が万事
碁に勢いを秘めて、

常に、局面をリードする態勢にあれ!

万事塞翁が馬
失敗と思っても、沈着に、

動じず、巡らす思考。
それを好手にする手だては無いか?

たとえば、「車の後押し」など、普通は良くないが、
時至れば、逆転し、好手になる可能性を秘めている。