感性ほとばしる即興碁

・・・即興(Improvisation)の神業はパトスの世界・・・

                                      高野圭介

超早碁というか、即席にする碁。
お昼休みにあっという間に打つのもそうだが、
 不断の訓練で感性を研ぎ澄まし、即興的な碁を打って、
グレードの高い碁が打てるだろうか?

 結城聡早碁名人はプロ同士で、「10秒碁」でいつも訓練している。
「10秒碁」
 白黒双方とも凄いスピードを要求されます。19路盤で、
10秒以内で1局を打ち上げろという神業です。
しかもその間に、確とした形勢判断がされて、その対応した着手で応じる。
黒...5.4.3.2 で打つ。
すぐ白は...6.5.4.3.2.パチリ。
 傍で見ていて、鬼気迫るものがある。

 即興という短縮した時間内に対応するために、
碁のルールそのものを変えようとした動きもある。

 まず、碁盤の広さを変えることから始まる。
 碁盤を小さくする。
一般には九路盤が普及されてきました。
ただし、五路盤以下は先手必勝が証明されている。

 いっぽう数々の先達は碁盤を広くするために
立体的な三次元の碁盤など、いろんな試みもありますし、
升目を正三角形や正六角形にしたりして、空想を膨らませているのです。
現に、正六角形の碁盤はシチョウが現れます。

 さて即興碁にも妙手、突飛な手などが繰り出されてきますが、
基本的に碁には「一着の価値」という原則が支配していて、
少々の緩手・悪手にもたいした問題がない場合も多々見受けられるのです。

 でも、即興というからには、ロゴスの世界に、瞬間浮かび出る手段を楽しむ訳でして、
計算の世界から、絵を描く世界という碁の最も大切なパトスのお出ましです。

碁では初心レベルから、一定のレベルまではロゴス(論理)が先行するが、
深奥の棋理に触れるレベルではパトス(感覚・感情)の世界か、と言われている。

 子どもに碁を教えていると、即席に「自然な手」を打ってきます。
たとえば、ツケノビ定石で、ノビずに、ハネてくるのです。
 これは目的に適った、定石などを超えた、とても爽やかで、頬笑ましいのですが
こんなのも、ヨミの裏付けも何もない
ごく自然発生の即興的な手談・手段なのでしょうか。