字戦法

日本海海戦・秋山真之

                                                       高野圭介

「坂の上の雲」
司馬遼太郎のスペシャルドラマ
「坂の上の雲」が(2009年)から3年にわたって放送されます。

「坂の上の雲」は司馬遼太郎が、
明治という時代に立ち向かった青春群像を、
10年の歳月をかけ渾身の力で書き上げた壮大な物語です。

伊予水軍
ここに伊予松山出身の無名の三人が登場する。
伊予水軍の末裔であった彼らは、
其々の能力で「坂の上の雲」に奇蹟を描いてみせた。

一人は、近代俳句の祖正岡子規。
一人は、日本騎兵の創設者秋山好古。
一人は、その弟の海軍参謀秋山真之である。

 (cf.日本海海戦の丁字戦法をあみだし、バルチック艦隊を破った)


秋山真之の

戦略と戦術

戦略
戦闘の時、
「戦闘の地、戦闘の兵力を定めるもの」軍の配備その他の
根本問題を取り扱うものであり、敵に備えての布石とする。

実践例
海戦当初、連合艦隊を三つに分けてそれぞれの任務に当てる
旅順口封鎖 バルチック艦隊迎撃の地点を定める

戦術  
ずっと局部的で
「敵軍との交戦にあたり、いかなる計画によって、いかなる隊形で戦うか」
技術的なものであり、手筋や定石に類するものである。

実践例
バルチック艦隊と接近して、丁字戦法を用いる
夜襲を実行するなど正奇、虚実の術を尽くしてこれを撃破。







司馬遼太郎の
丁字戦法に
関する
記述である。




秋山真之は戦術・戦史にない独自のものを開発して、
なんとか全ロシア軍艦を日本海に沈めてしまうこと。

彼はアメリカに留学して、
アメリカらしくシロウトが考えた合理主義やアイディアに刺激された。

 つまり、ものの考え方を
「自分を自由にするしかない」
「型を磨くといった名人芸は要らない」
「自分で考えついた・・・・どんなものだって、発想の種になる」。

 ここから出てきた真之戦略は次の二つでした。
1.わが全力を挙げて敵の分力に乗ずること。
2.常に敵を掩うように運動すること。


 この後者(掩うように運動する)のがT字型展開になったわけです。

日本海に出現したロシアの大艦隊。戦術的優位にたつためにも
連合艦隊は数年前から練りに練ってきた丁字戦法、
いわゆる敵前大回頭を敢行する。
後にうたわれる東郷ターンである。

遭遇するにあたって、東郷艦隊がT字をとりはじめたとき、
敵旗艦「スワロフ」の艦上の一参謀は”しめた!”と思ったそうです。

それ程法則から離れた、異常な艦隊展開でした。

−『明治という国家』司馬遼太郎著より抜粋−



熱い気持ちで
 私は今、真之戦略に勇気づけられています。

碁の思考上出てくるものについて、
1.わが全力を挙げて敵の分力に乗ずること。
2.常に敵を掩うように圧して運くことを。
3.星の特性に一層の配慮を掛ける。


自由と合理に基づいて試行を展開するつもりです。

しかし
その実、今では施行上、何の確信もありませんが、
熱い気持ちで当たることにしました。