掃除の前の掃除

                                         高野圭介






早朝の

大山寺
  

秋の大山寺を訪れた。
 地下鉄「学園都市」で、お巡りさんに聞いたら、
「遠いですよ。歩くんですか・・」と、びっくりしたように言う。
 着いたのが、八時半。早かったので、
まだ人一人居ないのかな?と、思ったが、
かさこそと音が聞こえ、誰か、掃除の姿が・・・


阿弥陀堂   

本堂、阿弥陀堂、三重の塔の味わい深そうな建築の
たたずまいと言い、色彩といい、名刹を感じる。
聞けば、本堂は神戸で唯一の国宝建築物だそうな。
 閼伽井(アカイ)橋を渡って、奥の院へ行く。

奥の院へ     
掃除の

前の

掃除

しばらくして、磨崖仏を見に行こうとしたら、
かの掃除の人が外から入ってきた。
品の良いこの方は、どうも、寺の奥さんらしい。

「あら、奥さん、掃除も広くて大変でしょう」と、言うと、

「広くておっつきませんよ。この寺は天台宗で、
(注:比叡山が本山)檀家は持てませんが、
部落の方々で掃除に来て頂いています。
もう、掃除の方が大勢見えるので、
掃除の前の掃除をしているのです」

国宝・本堂   

磨崖仏を探し当てて、帰る途中、色とりどりの野の花が可憐だ。

可憐な
野の花
         
 
野菜の人工栽培も見事。
まるで、鶏小屋工場だった。

野菜工場