第36期碁聖戦第3局・観戦記

坂井秀至碁聖 vs  先番羽根直樹 挑戦者

239手以下略  先番3目半勝ち
                                      高野圭介

         

暑中お見舞い申し上げます。

1目1目をどう争う
我が坂井先生この一局で決めてしまいたいところ。

坂井先生が
私たちの世界では1目1目をどう争う世界でして、、、
と言われたことがある。

「1目をどうして捻り出すか!」
「妥協を許さない」
「相手の言うことに反発する」

それが元で、想像も出来ない玄々の世界が具現する。


局後の検討で、発見された逆転劇
・・・・週間囲碁8月15日号紙上に発表された・・・・

黒の「妙手101.103」は実は敗着になりかねない危険なしろおのであった。

「これは黒アカンやろな」と、坂井。
「そうか、無理やったんか!」と羽根。


対局中は思いもよらない黒010.103に動揺させられて
「ほんとうにそんな手があるのか?」と当のお二人。



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 シノギ勝負宣言  
本局、白10は白の「
シノギ勝負宣言」と見た。
白40ボーシは乾坤一擲の強手であろうか。

黒は中央を切断かと、見ていたら、黒41下辺ノゾキとは緩手と見た。
白44と、中央を大手を振って貫通したとき、白望外のしあわせ。
評者滝口政季九段は「白はドライな打ち方」と言っている。白虎口を逸した。

案の定、黒45は長考、思考の内容は知るよしもない。
白52からのデギリはプロならば大方の一致するところのようだ。

昼食時

コンピューターは地合約11目黒よし。
持ち時間は双方1時間半程度でほぼ同じ、と報じている。

左上隅の
ツケオサエ定石は「白の守りではなく、攻撃の手」
とは家田隆二先生の教え。

なるほど、白74まで真ん中へ突きだしているでは無いか。
ツケノビ専科ではこうはならない。

高校野球   
今、高校選手権兵庫県大会で、
加古川北と東洋大姫路の決勝戦が15回2対2の引き分けで、
再試合となった。

凄い熱戦で、感動した。

形勢判断  
一手一手打った方がよく見えてくる伯仲の局面か。
白78ノゾキには黒しびれた。下辺からの黒の眼形に若干の問題がある。
白80とトリキリは流石と感じながら、一方、堅すぎないかと、不安がよぎる。

形勢判断は
白90と備えて、コンピューターは持碁一の局勢とはいえ、やや黒持ちという。
左辺中央、黒99キリで、ダメ詰まりの白が苦しそうに見える。

 下駄を履くまで
黒103は強烈!中央、黒の制空権が凄い!

白万事窮したように見えるが、白勝機を見いだせるか?
何と、巧く凌いで、白112の時、やや黒持ちとコンピューターのご宣託。

「勝負は下駄を履くまで分からない」とは坂井碁聖の名言にある。

遂に、非情な碁盤は白3目半足りないと、告げてきた。ああ無情!


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