第三章  碁の構成

(12) コミを考える

                                   高野圭介


変わるコミ
 碁の新定石、宇宙流などと現在も日新月歩の囲碁界である。

コミの問題と言えば、
コミが何目なれば適当か?というのも時代とともに変わってきている。

3目見当
 そもそもコミは先着に対するハンディキャップのことである。
昔はコミの概念もなく、手合いは先番から2子の間のハンディの付けようもなかった。
だから、コミ無しの白番はたいへんだった。

 経験則からして、
最初にコミが考えられた頃、3目見当が妥当とされていたようだ。
それでも
「コミ碁は碁にあらず」と言われたものだ。

大コミ時代へ
 定かではないが、ずーと昔は3.5目ではなかったか。

4.5目になったときの事情は知らないが、長らくコミと言えば、4.5目であった。
4.5目は1955年~1975年の20年ぐらいの間に5.5目に変わっていった。

5.5目時代は1975年~2003年の半世紀は殆どの棋戦に定着していた。
5.5目は大ゴミと言って「白を持ちたい」の声も高かったと聞く。

6.5目には2003年を皮切りに現今のコミ6.5目に変わってきた。

中央指向
 私見では、
一着の価値の数値化にコミの価値の評価が掛かっていると思っている。

江戸時代の小目全盛時代には隅の価値が高いとされていた。

 ところが昭和初期、新布石の研究発表の成果として、
中央の価値が見直されて、隅より中央指向が顕著になるや、
碁自体が過去を振り切って、新しい宇宙流が出現した。

つまり、
一着の価値の数値化が9目とすれば、その半手(2分の1手)であるコミ4.5目となる。
13目となった時点で、コミ6.5目となると理解している。
いずれ、
1手15目の価値の認知が罷り通るとき、コミ7.5が出現することになろう。
すでに7.5目は中国・台湾では実勢コミである。
いつの日にか日本にも7.5目が実現するのも自明の理であろう。

一手の価値
面白いことに、一手の価値である以上、盤の広さには関係なく、
9路盤、13路盤にも同様の原理が支配している。