第三章  囲碁の本質


(11) 段を考える

                                   高野圭介


認定基準がある
碁は TPO を問わず打てるのがなんとも素晴らしい。
しかも棋力の強弱を越えて楽しめることである。

 ここに段級の差を拡大して見ると、不思議なことにたとえ段のインフレがあろうとも、
棋力認定の基準が厳然として存在するのに驚く。

幾何級数的差
ここに注意すべきは、段差はどこをとっても幾何級数的な差の中にあることである。

例えば初段と3段の差を1と3の自乗の差。
6段と9段の差は6の自乗と9の自乗の差で桁違いの大きさである。

上手とした手
棋力の差がある人の対局で、不思議な現象が起きる。

 上手と打てば、形良く良い碁が出来ていくのに、
下手と打てば、引きずられて、筋も形もぐしゃぐしゃになっていく。
まるで、下手の筋悪が乗り移ってくるような感じさえ生じる

 
下手に引きずられなくなるときに、高段の域に達したと思ってもよいのではないか。



  棋力・碁品のそれぞれの主な特徴の分析である。

下級 棋力の幅は広く、認定基準は難しいが、それでも棋力の差は当事者はよく認識しているものだ。



段の 認定基準

さて、あなたの棋力の自己診断は。棋力の限界は。

上級
狙いながら打てる。フリカワリも考える。詰碁への取り組みが肝要で将来を決す。
初段  
相手の打つ石音に付いて打つ。攻めを身上とし、打ち過ぎがち。厚みの理解が難しい。
2段
時折、石取ってその碁に勝たず。した手名人。稼ぎまくってシノギが得意。形につくが課題。
 3段  
力自慢。手を作りに行く。ハメ手とトントンが得意。一方、指導碁のみで実戦不足の向きも。
 4段  
キリ味に醍醐味。純アマの畏るべき打ち手。社会勉強が戦術戦略に大きく寄与して戦い上手。
 5段
定石、形筋の勉強家で、囲碁理論に新機軸の解釈あり。手筋乱舞し要廃石の判断抜群。
 6段  
一応囲碁体系を網羅しアマ高段の終点。ヨミと形勢判断がよし。特に中に強ければ上の部。
 7段
まず、形が崩れない。石の軽重強弱に敏感。大局観がピタリ。詰め碁の強さが限界の高さ。
 8段
県代表クラス。石の切り味、方向、変化に気合いと自在の感覚で対処。手どころのヨミぴか一。
 9段
トップ・アマ。オール・ジャパン・ベスト二桁。四角の盤が円から球に見えてくる筈。