これからのプロとアマの囲碁界


イ・セドルvsアルファ碁五番勝負の総括に代えて


                                                
高野圭介


AIという新しい波


 チェス・将棋に続いて囲碁にもAIという新しい波の洗礼を受けた。
今、改めて時代の流れに驚いているが、振り返ってみると、
我ら囲碁愛好者は大海原の大きなうねりに身を委ねているのである。



プロとAIの接点は驚くべき結果だった。誰一人として予測が当たらなかった。
アルファ碁は4勝1敗の結果、しかも1敗も決して悪い碁では無かった。

トッププロは賞金1万ドル(1億1千万)という以上、全力投球!だったはずだ。
今後、誰が挑戦するか?注目の的で、そしてその帰趨は?
今後の予測はまた、難中の難でしょう。


アマの世界

 
アマの世界にそれを見ると、以下のようなものが列挙出来るが
詳細は言うまでも無く、身近に感じられるだろう。

1.インドアゲームの多様化。

2.段位のインフレ。

3.碁会所からインターネットへ。

4.囲碁愛好者の減少。

5.プロとアマの垣根崩し。


プロの世界

 
プロの世界はどうか?
プロの世界もいよいよ様変わりの寸前ではないか?

1.日本から世界へ。・・・1974年から・・・

2.世界での日本の実力

3.段の権威があやふやに

4.プロとアマの接点

5.プロとAIの接点


世界のトッププロの変遷


The history of the world's best Go players



1974年から始まった・・・・2016年までの囲碁界の思い出が走馬灯のように。




プロの段の権威


 
段の権威について言えば、昔は初段と九段:名人の実力の差は3子とされていた。
今は、全員互先の手合い。


因みに、昨今の ネット碁会所の統計によれば
互先で勝率5%前後ということは3子置けば勝率50%を超える計算になります。
 また互先で勝率約5%とすると9子置けば勝率は99%を超えるはずです。
物事に絶対はありませんが、互先で勝率約5%とすると
一般的な考え方として 「9子置いて勝てる」 と考えて差し支えないでしょう



 かって、坂田栄男が日本のチャンピオンは35歳の年齢が必要だ、と言った直後、
林海峰がジンクスを破って、ヤングパワーの突破口を開いた。


プロとアマの接点

 
昔のプロに立ち向かうのは橋本国三郎のようないわゆる「懸賞打ち」達だった。

今では、院生の存在が一つの架け橋だが、プロの味はやはり一段と別の世界のようだ。
 それでも。指導碁の形で、接点がある。先だって、私が村川大介プロと組んで
ペア碁を打ったが、これもアマ・プロ交流の一つだろう。


AIの問題点





アマが遊ぶ相手から
アマの学ぶ師範に・・





 最後に、日本のプロの問題点を考えてみよう。

 中国の四人組の後、中国の留学生他のアマ碁打ちが日本上陸を果たし、
アマ囲碁界に安い指導碁を始めた。指導碁価格革命である。
その余波は、プロの収入を半値八掛けまで激減させた。

プロは努力しても、自助努力のないお客様には院生のようにはいかない。
アマはアマで、プロに浸いているから大丈夫とタカを括っている。
行き着くところは実力の伴わない「紳士の段」だ。



ここに来て、
驚異のAI技術「ディープラーニング」などの対局ソフトは続出している。
今までは、アマの遊ぶ相手に選ばれていたソフトのこの様変わりに、
今からは、「ソフトから学ぶ」姿勢に変わってくるだろう。

レッスンプロの脅威・受難の要素が増えた。




3月28日号週間碁記載の著名プロの談話である。

今後、プロにとってもアルファ碁という人工頭脳AIが重要な練習ルーツになる。
もちろんアマにとっても重要な指導碁の師範になるだろう。
今後、プロ棋士の在り方に形が変わるかも知れない。

思うに同感で、囲碁界に強烈な一石を投じたことは紛れもない事実と思う。

                       高野圭介記