囲碁生成の核心に迫る 仮説 囲碁の祖型は北インドで生まれたチャトランガか |
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メソポタミアと古代中国 |
奇しくも「チャトランガ」は囲碁の起源と何か関係があるのではないか、 |
「胡」と中国の文化 | さて、メソポタミアと、中国を比べると、単に都市文化と農耕文化の 違いだけでない文化の質の差が余りにも大きい。 中国の文化の風は天候東漸の定めの如く西から吹いてきた。 中国の文化には胡人、胡瓜、二胡、など「胡」と言う文字がかなり出てくる。 辞書によれば「胡は・戎・中国の辺境部に住む住人・ 外地の産物であることを示す語」とある。 「胡」は西から運ばれてきた高度な文化のル-ツであったのだろう。 中国の秦兆雄教授の道教論、西川泰次医師、鵜岡誠一講師の アジア音楽の胡の国ル-ツ論、何為指導講師の中国人気質論は、 それを証するに余りあるものだった。 「胡」だけでない。 人類が大移動していった海陸のシルクロ-ド、チベットの秘境ロ-ドなどの 大ロマンの道に添って余多の文化も移動して来たに相違ない。 恰も、将棋が改良され、変化しながら伝播して行く将棋のル-ツ論と重なり、 ハタと合点させるのに充分だった。 |
道教と仙人 | また、囲碁と将棋の合体ゲ-ムが十九路盤で再三再現されているのである。 これには驚愕した。まさか、将棋と囲碁が合体して一つのゲ-ムを構成する。 そんなことが現実にあったのだ。これは元々同質のものが一旦分離したもの のみが為しうる奇跡としか思えない。まさしく「チャトランガ」の再現であった。 そして文化の中国へ移り行く姿である。 古代中国に導入される道筋には道教と仙人が出没する。 その媒介として大いに与って力になったのは 「仙人」と称する人であったと推測する。 本文はなぜ、人類の発生から始めたか、と言うのは メソポタミア文明に焦点を絞るためにはどうでも必要であったからである。 |
変化してゆく 囲碁ルール |
現今の囲碁そのもの・囲碁規約・ル-ルが瑕疵のない 完全なル-ルに則っているとは言い難い。 遠くない将来、コンピュ-タ-でのハンド・ト-クが激烈になり、 国際ル-ルが制定されるだろうとの予測がある。 また、改良されたとき、囲碁哲学・思想も変わり、自ずと人間同士の 戦術打ち方にも新機軸がうち出されるのではないか。 |
未来の囲碁 と コンピューターの碁 |
囲碁の未来についても論及した。 呉清源は「二十一世紀の囲碁は六合(りくごう)、つまり、 東西南北天地が調和されたものでなくてはならない」と言っている。 こうして、囲碁の行く先を探るとき、初めて、祖型から時系列の如何を問わず、 改良されて歩んできた囲碁の普遍的な本質を探ることが出来よう。 また、今さら改めて申すまでもないが、 「囲碁は現在なお、まだまだ祖型からの改良途上にあるだろう」の仮定 に立って考えるとき、歴史を遡る視点がしっかりしてくる。 囲碁の将来は国際ル-ルも含めて、 コンピュ-タ-なしには語れない処まで来ている筈である。 又、囲碁ソフト自体新ルールの世界でしか自由に動けないのではと想像している。 つまり、ソフト自体は哲学しないが、囲碁で関わる人の囲碁観が 囲碁のル-ル・ノウハウを規定して行く。 でも、コンピュ-タ-の碁とて、囲碁の発生の謎と玄妙の味などの 憧憬が無くては永遠に語ることは出来ないだろう。 |
caturanga (チャトランガ) |
これらのことは、敢えて大胆な憶測を試みるとき、 「メソポタミア・北インド」への観測と確信を深めこそすれ、 「尭舜の囲碁創造説」にますます疑問を抱く結果となってきた。 従って、今こゝに、神話以前に遡り、その囲碁の祖型を求めて、誤りも慴れず、 仮説「囲碁発祥のル-ツは北インド・祖型はチャトランガ」を提唱したい。 仮説 元より、チャトランガは将棋・チェスの祖の認識とされているが、 駒が石となって、マス目の中から、線上を動いたとき、 チェッカーとなって、西へ。囲碁となって、東へ移動していった。 中国の友人、唐騰、邱継紅、史衛忠らの諸氏と中国を歩いて確かめ、 他にも中国の囲碁に関する見聞はにいろいろご教示頂いた。 また、アメリカなりヨ-ロッパの囲碁に関する情報とコンピュ-タ-の知識は 三十年来の親友であり、IGS の創作者マ-ク・オカダ氏にご教示を得た。 本文脱稿に際し、平素から各方面にご指導を頂いた 江口武雄、永山隆、福本伸男の各氏に感謝する。 参 考 資 料 《文献01》大室幹雄『囲碁の民話学』 1977年 せりか書房 《文献02》林道義『アマの深層心理学』 1994年 三一書房 《文献03》増川宏一「囲碁史の嘘」『すざら碁仙』 1992年 碁きち会 《文献04》尾立源二「アマの囲碁哲学」『すざら碁仙』 1992年 碁きち会 《文献05》Theodore M Drange「The Philosophy of GO」『すざら碁仙』 同 《文献06》増川宏一『盤上遊戯』 1978年 法政大学出版部 《文献07》『旺文社ジュニア学習百科辞典』 1970年 旺文社 |