閑話休題



盤の兼用(multi)化


「囲碁の起源に係わっている文献の再解釈」

                                            高野圭介


閑話休題

私が、まさしく浅学非才そのままで、
盤上ゲーム(board game)としての囲碁の起源を手探りしているこの時期に、
囲碁起源研究に関して、全く学術的科学的な立場から素晴らしい論文が提起された。

これが私自身の「囲碁の祖型」に取り組んでいるその手法について励ましの言葉と甘受しました。
 ここに、要旨(日本語訳)を意訳して記載します。

                                          高野圭介

論文要旨
「囲碁の起源に係わっている文献の再解釈」



2008年2月12日

キム・ダルスー
韓国・明知大学校囲碁研究学科修士


囲碁の

韓国起源説


 囲碁に関する文献はゲームに対する十分な知識を持たない人たちによって
書かれ、また解釈されてきた。

従って、
文献は不完全または不正確であるという仮定の下に再検証する必要がある。

例えば、韓国語と中国語で、棋、博、弈、その他盤上ゲームの数々が
同じゲームだとみなして、区別も付かないまま論理を展開した結果、
「韓国で発生した’囲碁’が中国に伝播された。」というような
論理が展開されたりしている。


不正確文献


問題点として二.三を指摘する。



 一つは、古代文献の記録者たちは殆どが当代の文人であると同時に
政治家、儒学者及び思想家である。
だから彼らは特殊な場合を除いてはゲームに精通していない。

 とりわけ大切なことは、彼らが孔子の「述而不作」・・・解説するのみで、
新しく創作はしない・・・の伝統のまま記録したから、自己の主観の判断でなく、
前人の記録の内容をそのまま踏襲した可能性がある。

 つまり、彼らはゲームの観点から内容を正確に記録したものではない。
 だから、過去の文献は不正確という前提下で再検討すべきである。


盤の兼用化
 二つは、今まで碁盤では囲碁だけ、将棋盤では将棋だけという
固定化された時角で研究が進められてきた。

しかし、挟食(挟んで取るようなゲーム)や五目並べの例を見ると、
碁盤で囲碁以外のゲームも可能であるという事実が立証された。

  

例えば、「方棋」というゲームが中国・新疆一帯の現存するゲームであるが、
この方棋またはこれと類似するゲームが碁盤に転用された可能性が非常に高い。

 つまり、一種類の(例えば囲碁の盤)盤で、囲碁以外のゲームが出来る状況を
「盤の兼用(multi)化」と暫定的に定義する。

 
ここに、今まで判然でなかったが、
囲碁であると解釈されてきた文章に対しても、徹底的な再検討が必要であり、
既存の解釈であった囲碁が、囲碁でない、別のゲームであった
可能性を検討することが急務である。