第四章 囲碁伝承

(28) 中国の囲碁遺跡

                                            高野圭介

 囲碁の逸話
囲碁と戦いに関する逸話も散見される。

 前漢末の劉向(BC 77~6)曰く「囲碁を観るに、用兵に法っている。
怯弱な者は功がなく、貪欲な者は先に亡びる
」と。

 また、古代中国の『太平御覧』なる書に
碁を囲む夢をみる者は闘うことを欲するものである」とある。

棋盤山
人類の移動・定住の歴史に考えられている道筋の中に、
中国では、昆明・成都には道教の寺乃至修行場がいろいろある。

昆明から西 150キロに棋盤山がある。
行ってみると、この山は碁盤のような形をしていて、今は寺も何もは無い。
聞くところに依ると、昔は道教の寺があって、今も道教の諸々の祭礼が行われている。
しかし、どちらかというと、一般の人は殆ど行かないようだ。

これは昆明の李雲山に聞いた話である。

   

五岳と道教
 中国の代表的な名山霊地・ 五岳はそれぞれ
神仙がの住処であると同時に道教の霊場であった。


五岳の筆頭が
泰山である。
泰山には死者の霊の登る山で、道教の神々が奉られてある。
同時に気功のメッカでもある。

最も仙人の出没しそうな
黄山も道教に大いに関係がある。

西方の
崑崙山には不死の神薬を持っているという女仙西王母が棲んでいる。

青城山


 また、成都の郊外には道教の有名な修行場・
青城山がある。
洞穴があって潜行し、分岐して三となり、それぞれが一所に通じている。
また西北は崑崙山に通じているといわれる。

 
青城山にまつわる伝承。

 昔、一人の採薬民が洞窟の奥部へと潜行して行き、仙境に達する。
そこで彼は玉皇はじめ大勢の玉女・赤衣童子・青衣童子らに遭遇し、
仙術の学習に熱中して、遂に地表の九十年間を過ごしてしまった。


参考文献
《01》大室幹雄『囲碁の民話学』             1977年 せりか書房

《29》安藤如意『坐隠談叢ー囲碁全史』  新編増補 渡辺英夫 1955年 新樹社

《16》中山典之『囲碁いろは歌』             1994年 中山典之

《30》呉清源『呉清源棋話』                          

《31》中山典之『囲碁の世界』              1986年 岩波書店

《32》小松田良平『囲碁クラブ』7月号          1960年 日本棋院

《33》安永一『中国の碁』               1977年 時事通信社

《34》山口修『世界人名小事典』          1972年 福音館書店

《35》安岡正篤『童心残筆』               1992年 島津書房

《03》増川宏一「囲碁史の嘘」『すざら碁仙』      1992年 碁きち会

《36》『囲碁の発生は山西省』            1993年3月 神戸新聞

《xx》福本光司『道教と日本思想』           1985年 徳間書房