プロを葬った驚異の刺客・・・・前夜祭

アルプス碁会・前夜祭のことである。
倉科姉妹が格別に指導碁を受けることになった。
ここで、夏奈子さんの刺客の手裏剣が飛んだ!

                            高野圭介

詰碁の刺客  
「プロの大石が取れた!」
「攻め合い??」
「いいえ、本に書いてある手筋が出てきて・・」
「同じような手筋??」
「そう、そっくりそのまま。」
「ペラペラと本がめくれてきた???」

聞けば、先生は
「黒123手ツケとは・・ビックリしたなぁ・・・もう」
「こんな死にかたは滅多に無い。驚いた!」
と言っておられたとか。さもあらん。

この鮮やか詰碁は、黒123を天性の才というか、
学習の賜物というか、
すでにそれだけのものが培われているのだ。
立派としか評しようが無い。


高野の勝手な眼


「よそ行きの碁」

黒は哀しい
置碁の宿命を
辿っている。



置碁からの脱却



高野の勝手な眼

全国大会決勝戦で残した素晴らしい言葉がある。
「より厳しく打ちたくなった。
やりすぎかと思ったが戦いをしてみたかった。」

この気概が勝利を克ち得た。

いっぱんに、
低段者でも五子置いてプロに勝てることもある。
ましてや、夏奈子さんの三子である。
三子の助っ人があれば、少々ぬるくても
自動的に手堅い碁に変質するものだ。

例えば、
黒58イキは逸機。
白1の隣にツケコシて先手イキ。
こんなことは百も承知の黒が、3子局の甘えで、
精神的に剣先が鈍ったとしか思えない。

別の見方をすれば、本局の流れは
置碁独特の助っ人作戦に甘んじるような
よそ行きの碁に仕向けられているふしがある。


因みに、プロプロ置碁の棋譜をご覧下さい。
置き石があっても、いっぱいいっぱいに打っている。



      

大澤健朗プロ二段       vs    三子   倉科夏奈子