車椅子の母 No2.[最終弁論]

車椅子の母 No1.の続きです)
                                      土佐 保子


第4回公判

最終弁論



今日7月5日は京都で起こりました
「承諾殺害事件」の第4回公判があり、
京都地方裁判所に傍聴に行ってきました。

傍聴整理券が必要とのことで、2時間前から行きました。

整理券は1番でした。傍聴席の最前列は報道記者席です。
私は2番列の裁判官の真正面、被告席の真うしろの席に座りました。

懲役3年の
求刑

裁判が始まってすぐに、弁護人より
「地域の住民から嘆願書がでている」とのこと。
検察側も異議なしで嘆願署名用紙が裁判官の手に渡りました。

冒頭の検察官の陳述には、
母と息子が深い絆で結ばれていたと被告人有利な展開で始まります。

それでも、それでも尊い命を奪う権利はないと懲役3年の求刑です。

心打たれる
続いての弁護人の陳述には心を打たれるものがありました。

「被告人は気高い人で、
弁護人である私よりも人格者であり『義の人』である」と
被告人の人間性をほめたたえます。


そうだろうなと私も思います。
被告人が法廷に入ってきたとき、
深々と一礼し、実直そうな人柄が伝わってきました。


真摯な態度

終始真摯な態度で臨み、鼻をすすり、眼鏡をはずし涙を拭く姿は
法廷にいた者の胸を打たずにはおられません。

被告人陳述で泣きながら、
時には慟哭しながら書面の文面を読み上げます。
聞いている者の胸を引き裂かれる思いがしました。


言葉を
つまらす
裁判官


この裁判では裁判官も眼を赤くして言葉をつまらせ、
刑務官も必死に涙をこらえていたとのこと。

そして検察側が被告人に異例の有利な冒頭陳述をしているとのこと。


裁判官が書面を提出するようにと、
書面が裁判官の手に渡されました。

弁護人によれば、被告は毎日、母の冥福を祈り、
生かされた存在を大切に頑張って
これから生きていこうと思っているとのこと。

そして、仮に確認できるとすれば、
被告人のお母さんは被告人の処罰を望んでおらず、
被告人がこの先、幸せに過ごすことだけを願っているだろう。
そうすることがなによりの供養になる。

つらい裁判

被告人は2月から7月の今日まで5ヶ月間拘留されていました。
もう、それだけで充分なのではないでしょうか。

裁判を傍聴していて、
つらい裁判もあるのだということがわかりました。
検察官も人の子です。役目上とはいえ、つらいものがあると思います。

傍聴人 1.
私の次に傍聴にこられた男性は東京からで、
新潮社の作家だとおっしゃっておられました。

私は詰碁の本を持っていますので待ち時間にお勉強するつもりが、
つい本のお話やらでもりあがってしまいました。


傍聴人 2.
その次に来られたのは、和歌山から来たというお坊さんです。

それだけ今回の事件は人々の胸に深く残ったのでしょうね。