学生OBと古稀の巨匠

月刊碁学企画・橋本宇太郎九段の3子局詳解

橋本宇太郎  vs  3子 高野雅永

200手以下略233手完    黒8目勝ち

1984年11月2日
神戸市 神戸新聞社 社長室隣・応接間

                                          記述      三木 正
                                          抜粋・紹介  高野圭介



観戦者
神戸新聞社は先年、神戸市の姉妹都市である中国・天津市に囲碁使節団を派遣した。
もちろん団長は三木良一社長(当時専務)最高顧問棋士・橋本宇太郎先生の構成で、
その時、団員として、今日の対局者・雅永さんの父君・圭介氏が参加している。

大勢の方が観戦されたが、
兵庫県碁会の縮図、神戸財界と神戸新聞社のつながりを見る思いがした。

 江口武雄社長  
江口汽船社長父子も終日観戦組である。

神戸はこじんまりした美しい街である。代々続いた神戸財界の方々の、
生得の人柄の高雅さはもとより、頭の柔軟さに感心する。

雅永さん略歴  
昭和36年生まれ。父・圭介氏に手ほどきされ、西村修氏の指導を受けた。
淳心学園から第一回全国高校選手権大会に兵庫県代表として出場した。
高校の後半はイギリスに留学。慶応大学商学部に進んで、かたわら緑星学園
第一期生として、菊池康郎氏に学んだ。

58年度、学生本因坊戦第3位。学生本因坊戦4位、団体戦でも、慶応大学に
優勝をもたらしたことがある。
押しも押されぬ学生碁会のランキングプレイヤーであった。

主たる評  
13~23  白がやや働いた。
22~29  感じが出た。
30~38 高野流バランスが良い。特に、黒30は棋風が躍如!


宇太郎師匠の変幻自在の打ち回しに、よく三子の効力を維持したのは雅永さんお大金星であるが、
攻めが一本調子でなく、バランスの良い手を選んで危なげが無かったのは、ある意味では老練そのものであった。

学生碁に対する私(三木)の先入観念とは全く相違する充実した一局、堂々たる勝利であった。

                                   三木 正