竿灯を行く「楽水会」

「楽水」は1930年、日本のヨット界にデビュー



                                  西光博司 記

cf:「明治・大正期におけるヨットの伝播と受容基盤(佐藤大祐;2003)etc.」

日本ヨット史  
 日本ヨット史において嘉右衛門はどんな位置付けか。
須磨楽水会はどのような存在か。

これを「日本ヨット史における最古・先駆者とは何か」を探ってみましょう。




明治からの

ヨット・クラブ

 
 日本でのヨットクラブは、
1868(明治元)年に横浜で英国商人のローイングクラブから派生しました。
 以降、神戸居留地や中禅寺湖、野尻湖などにも広がっています。

1922年
関西では
1922年(大正11年)に京都市立第一商業学校(現・西京高校)の
ボート部OBによる「京商漕艇クラブ」として創立。
そのクラブはシングルスカル3艇とヨット1艇を持っていました。

しかし、2年後の1924年に活動停止しています。



シングルスカル艇

1930年

日本人による
最古のヨットクラブ




 1930(昭和5)年秋に、京商漕艇クラブ設立者が新たに「帆走倶楽部」を創立し、
  1931(昭和6)年に「日本ヨット倶楽部」と改名しました。

  さらに1932(昭和7)年には「琵琶湖ヨット倶楽部(BYC)」と改名し、
日本人による最古のヨットクラブ(クラブの祖)として現在に至っています。




写真は嘉左衛門 愛艇「鉄拐号」進水式

1930年年6月、嘉左衛門の須磨楽水会が設立されています。

大学のヨットの歴史


なお大学のヨットの歴史については
関東では慶應が最初で1932(昭和7)年設立。
関西では京大の1935(昭和10)年です。

 先駆者群
ここに、ヨットの歴史を俯瞰するに、
須磨楽水会はかなりの歴史に、先達に伍して誇り高い足跡が見られます。



 ただ、中央の日本ヨット史に須磨楽水会の記述があまりないのは、
嘉左衛門は競技ボートを何より最優先に置き、競技セイリングを含む
ヨット全般については、二の次ということであったのかも知れません。