江南史跡を詠む

                                           高野圭介



寒山寺の蘇州
冬空に漢字ずくめの広告塔


凍てし夜デジタル誤表示エレベーター


空海も鑑真和尚も冷えし座に

古都・烏鎭
早暁の薄氷(ウスライ)を踏む散歩道


 

区切り無き電話番号寒空に

 
渺々たる西湖
六和塔天突く冬の茜雲


青柳透かし見るべし西湖岸


冴える朝太極剣先ひるがえる

魯迅の紹興
春節の爆竹騒ぎ石トン死

 

鳥の目の皿に恨めし冬メニュー

 
租界の今・上海
春節の終わり爆竹いざ仕事


冷気切る40qの長き橋