橋本・山部スーパー両天才の対局


宇太郎先生は「第二手のケイマ受けが敗着!気合いがない!」と断言された。
ここはすかさず右した隅黒5の方からハサム一手と。

末尾に詳細を記述。

                                                 高野圭介


天才宇太郎、天才山部。天子の定冠詞を戴くプロは他に居ない。
奇しくも私はこの二天才にご指導に与っている。
特に宇太郎先生には大阪で先生の月例・雨洗会で数十局のも及んでいると思う。

宇太郎先生の天才たる所以

宇太郎先生は又の名を「火の玉・宇太郎」とも言われ,独り関西棋院でも君臨されていた。

関西棋院が日本棋院から独立したのも一旦言い出したら聴かない燃える闘魂のなせる業でもあった.
 
なんぼのもんや
私は1978年に中国を碁を打ってお供して以来、直接先生からずけずけと聴き出すチャンスに恵まれた。
その中の一つ・・・

かって関西棋院が日本棋院から独立したとき、日本棋院は「関西棋院何するものぞ」と対抗戦を申し込み、
「なんぼのもんや戦」が実現した。

この件で、宇太郎先生の巷間に伝わる話に、先生の直談とは乖離したものがあって、
いつまでも秘めておくものでも無いと思っています。それを発表したいと思います。


 

中山典之先生は「実録囲碁講談」を贈っていただきました。
その中に、「第二のドラマ:東西両天才の対決」があって、詳細に記されています

            


中山先生は「黒第一着天元に、ノータイムで、白ケイマ掛かり。黒は直ちにケイして高圧する」
「今、橋本先生にうかがえば、あるいは、ご教示があるかも知れぬが・・・・」と描写されている。

(高野の独断で分かり易く編集しています。)

 
同じ譜面を橋本宇太郎全集第三巻(全六巻中)に見ることが出来る。

    

 


黒1の天元に、白2とカカリ、見る者をしてアッと驚かした。

 


天才山部先生も関山利一先生も、「黒117、119」を致命的な敗着としているようだ。

 
宇太郎先生は「第二手のケイマ受けが敗着!気合いがない!」と断言された。
ここはすかさず右した隅黒5の方からハサム一手と。

今、何回も並びかえしていると、宇太郎先生の軽妙闊達な打ち回しは白6がすべてであったようだ。
素人眼に言えば「黒は終始黒6に幻惑され、振り回され、踊らされた感じだ。」

1.白6を早々と9手までの4個の石で取り囲んだ。忍者の白6の運命や如何に?

2.白24と集団に芯が入って、黒模様の中で、活き形を得た。不思議な展開だ。

3.白46とほぼ連絡しては、むしろ下辺の黒を脅かしている。 な、な、何と!

4.
不思議な黒の失着黒117.119はこのような背景の中で打たれている。

5.一旦は捨てた白4子は白140で生き還ってくる感じ。
6.白144と繋いで、とどめを刺した。


互先 天才・橋本宇太郎  vs  先番 天才・山部俊郎

昭和25年2月11日   146手以下略 白中押し勝ち