橫井傘二・詩心の世界



                     高野圭介 編



短歌は鬱勃と湧き出る詩情を率直に綴る。
リズミカルな流れさえ感じる短歌。


俳句も蘊蓄のある名詞が口を突いて出てくる。つまり、
過剰な形容詞が排除され,写実性の動きが躍動してくる。


 傘二の川柳は作品も一句だけで、
分からないのが本音です。
そういう間に,入選作が追加されてきました。

その詩心が傘二冠絶の定形詩と言えましょう。

 


2018年11月 松山を訪ねて  橫井 司





俳句  蘊蓄ある名詞

俳句は201610月より神戸新聞に投稿 足跡



投稿一年半、遂に
特撰

 2019年4月17日 入選  
山笑ふ善人小さき夢ばかり

2019年3月25日 入選  
人日や名のむつかしき草を喰む

 2019年2月25日  入選  
子の福を孫の福をと初詣

 2019年2月11日  入選  
幸せの花溢れゐるクリスマス

 2019年1月17日 入選  
枯菊を濡らして慈雨となりにけり

 2018年12月12日 入選  
山柿の小さきに有れど天穿つ

 2018年11月26日 入選  
自づから物語をり式部の実

 2018年11月19日 入選  
みちのくの言の葉添へて菊の酒

 2018年10月15日 入選
城裏の暗きを出でて杜鵑草

 2018年8月27日 入選
読み更ける吉川英治明易し

2018年6月18日 特選
言霊を暫し残して桜散る

2018年1月22日 入選
冬の月メタセコイアの葉隠に

2017年11月27日 入選
帰り来る人はもう居ず秋の蝉

2017年10月25日 入選
生身魂大口開けて飯を喰ふ

2017年9月25日 入選
逆立ちて強張る腕や雲の峰

2017年7月24日 入選
新緑の絵の具さらさら風の刷く

2017年6月26日 入選
メールとふ恋のミサイル風信子

2017年5月22日 入選
小さき手に小さき幸せ豆の花

2017年4月24日 入選
啓蟄の手足伸ばして風を知る

2017年3月27日 入選
榾の火に誘はれ生きしことのあり

2017年2月27日 入選
煩悩の一つ鎮めて冬帽子

2017年1月30日 入選
御座船の舳先分け入る海の秋

2016年12月24日 入選
泣く男泣かぬ女や新走り





俳句で話そう

選者  藤井啓子


垂水ぷらっと月例紙上句会  投稿



2018年5月 
特撰句

最後に一つが最初に一つだった    傘二


 2019年5月号 季題 春の雨  入選
垂水駅急ぐ背広に春の雨

 2019年3月号 季題 スケート 入選  
コーナーをスケート靴の光過ぐ

2019年1月号  季題  落葉 入選  
落葉踏み鈴の音高し海神社

2018年11月号  季題    虫 入選  
鈴虫の韻を踏みたる音色かな

2018年10月号  季題   西瓜 入選  
縁側に火星見る夜の西瓜かな

2018年5月号  季題  卒業 特選  
蹴上がりを最後に一つ卒業す





俳句結社「田鶴」

於 虚子記念文学館



兵庫県芦屋市にある文学館公益財団法人虚子記念文学館。

 2019年3月号  入選
濡れてよし濡れてわろしや春の雨

 2019年2月号 入選  
春立つや峠の道は遠からず

2019年1月号  入選  
探梅に天女の衣借りばやな





俳句   投句コンテスト



平成30年度 円通寺もみじ祭り投句コンテスト

 2018年12月吉日 入選  
一つ木に色の重なる紅葉かな





川柳    斜交いの視点

川柳は20183月より神戸新聞に投稿足跡

2018年11月19日  入選   
ひんがしと読めばいにしえ想う時

2018年7月11日 入選  
カバを見る人を見ている緩い人

2018年5月9日 入選
さっきまで賛成の手に裏切られ






短歌  豊かな詩情の吐露

短歌は20181月より神戸新聞に投稿足跡


 2019年3月6日 入選  
玉山と名前を変へし台湾の富士より高き新高山は

 2019年2月4日 入選  
今宵より始まるらしきルミナリエ昼間長閑な冬の神戸よ

 2018年12月12日 入選  
天国の有るや無しやは知らねども逝きて七年おーい宮本

2018年9月17日 入選
棺に入る亡父(ちち)に向かひて我ひとり夜はいつしか白々と明く

2018年7月11日  入選
初夏の日に蜃気楼なるめらめらが若葉に舫ふ原爆ドーム

2018年5月9日 入選
てやはるの川に遊(すさ)びし春鴨の尾を立て潜る水の煌めき

2018年3月26日 入選
玻璃窓に冬の赤月見えしとき生命あるもの息を調(ととの)ふ