白  高野圭介 vs 黒  表 悠斗

2015年9月22日 於タワーマンション36Fラウンジ

256手完 白5目勝ち



                                   高野圭介 自戦記

 






悠斗君の碁
悠斗君は強くなった。
前に打った時より遙かに伸びている。出来上がりつつある。
ここに「つつある」というのは発展途上中未完成ということである。

碁というものはいつ強くなるかというと、私の経験では、
「あ、そうか、これが分かった限りひょっとして一段強くなったぞ」ということが
百回あって、全然強くなっていない。ところがある日、溝をヒョイと跳び越したみたいに、
碁がピョコンと跳ね上がっている。そんな感じだった。

碁が強くなる過程では、中を打ったり、地に辛くなったりして変わる。
本局の黒さんは「手抜きして打ちたいところに先着したい」という
気分がいっぱいで、好感が持てた。

ただ急所で、攻め、キカサレ、味悪、手処の技術、手が見えない、
などなどが散見されるが、致し方の無いところ。
とは言え、猛烈に強い!と感嘆した場面もいっぱいあったし、
何よりもケレン味無く、手厚い碁が本格派・高品質と手放しで褒めたい。


具体的な問題点を指摘する。

黒12上辺ヒラキならば、14とキラずに中からハネる。あるいは、ヒラカないで、90に打ってキリに備えておく。
黒20は白17の左にツケたら、白は応手に困る。つまり黒20は形もダメだし、筋もダメ。
本局一番の問題手は黒42の二間トビである。
125とケイマして、二子を攻めるところ。攻めないで、上に二間でツナイで逃げた。
しかも、二間が薄く、後に、白71と迫られて窮した。
以下は略するが、

打ちながら感心した良いところ、二つ三つ。
左上隅、黒88オサエ。
中央黒128からどんどん白をもぎ取って大きな黒地を確定させた。

哀しいかな、ヨセの手筋に泣いた。
右辺の白170オキ。
左辺白193~195で困った。

白は手品みたいな
終盤、白は手品みたいなことをやって、ようやく追いついた。
並べて、白5目残った。幸運であった。
最後の白マジックの対応さえ巧くやれば完勝している。
一年先は、三子になるかな?

今回でお会いしたのは二回目だが、
悠斗君はにこにこと落ち着いてとても親しみやすい良い子だ。
碁も碁だが、そう遠くない将来、
素晴らしい青年に成長されることを陰ながら夢を見ています。




天谷敬一 vs 表悠斗君の熱戦。