郵便碁の醍醐味 高野圭介
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その風潮の中で、 50年に亘って連綿と郵便碁を続けた二人が居る。 丹波篠山の勝川浩幸さんと佐賀は鹿島市の増田芳之さんである。 さて、ご両人の郵便碁は如何なるものであったか? 両者からそれぞれの報告が私のところに届いた。 何と、瓜二つの中身で寸分異ならない。 |
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50年間日々の交流は総てを同一化している。 ひょっとしたら、環境も余り変わらないのでは、と伺ってみたら、 勝川さんは校長先生から図書館長へ。増田さんは床屋であった。 |
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対局の始まりは、日本棋院の懸賞問題の解答が誤配されて、 トラブルが起きた。お二人は気持ちよく解決し、 逆に、その機ををチャンスに「郵便碁」が始まった。 A局からZ局まで26局を一回白番黒番2局ずつ打って 50年掛かって打ち終えた。 歳も歳だし、この辺りが潮時かと、打ち留めにした次第。 平成になって、この葉書のやり取りよりも、 メールとか、別のやり方の案も再三浮上したが、 増田さんの「このまま続けましょう」と断言され、 葉書碁はそのまま。 |
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持ち時間は無制限。参考資料もフリー。 そのような無条件の碁なのに、 やはり「自分の碁」しか打てていない。 とは言え、お陰で棋力は相当上達してきた。 地域では7段から8段へと昇段した。それにしても、 AIの世界の真似をしようにも難しい。 例えば、ダイレクト三々と打ち込んでも、 後が巧く行かない・・・など。(増田) |
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50年間連綿と続けた葉書碁は相手あってのこと。 相手は機械とは違う。素晴らしい感情を持った相手。 お互いその二人の出会いが奇跡を産んだ。 お陰で、囲碁の面白さ、奥行きの深さなど、 実感をもって知ることが出来ました。 因みに勝敗は五分五分のようでした。 ギネスブックものだとも思いますが、申請はしません。 今は死ぬ寸前まで碁を打っていたい気持ちでいっぱいです。 |