郵便碁の醍醐味
          
高野圭介



 碁の打ち方にはいろいろある。



普通は碁盤を挟んで対局するのだが、
最近の子どもは碁盤はソコンの中にあって、
足の付いた木の碁盤は見たことも無いという。

 じゃあ、碁盤が無くても碁が打てるか?
それにも、いろいろある。

1.世に言う「盲目碁」。これは目隠しして打つ。


2009年、北京で。中国アマチャンピオン
鮑雲さんと私は壮絶な目隠し碁を打った。


2.世にも有名な「電報碁」。
ドイツのデユパール博士と鳩山一郎首相の
電報で打った碁。

3.最近では「ファックス碁」。
篠山の本庄三男さんと滝口政季九段が
打たれていた。
私も仲間入りして一局打った。

4.昨今では「ネット碁」。
・・・ずいぶん曲折を経て・・・・

将碁友の会
先鞭を付けたのが将碁友の会である。
将碁は電話料制度・パケット通信を導入してきた。


もう全世界に広く定着している。

5.「郵便碁」が静かに打たれている。
そのグループに「日本郵便碁愛好会」が
存在しているとか。詳細は知らない。



その風潮の中で、
50年に亘って連綿と郵便碁を続けた二人が居る。
丹波篠山の勝川浩幸さんと佐賀は鹿島市の増田芳之さんである。

  

さて、ご両人の郵便碁は如何なるものであったか?
両者からそれぞれの報告が私のところに届いた。 
何と、瓜二つの中身で寸分異ならない。

 
 50年間日々の交流は総てを同一化している。
ひょっとしたら、環境も余り変わらないのでは、と伺ってみたら、
勝川さんは校長先生から図書館長へ。増田さんは床屋であった。


対局の始まりは、日本棋院の懸賞問題の解答が誤配されて、
トラブルが起きた。お二人は気持ちよく解決し、
逆に、その機ををチャンスに「郵便碁」が始まった。

 A局からZ局まで26局を一回白番黒番2局ずつ打って
50年掛かって打ち終えた。 
歳も歳だし、この辺りが潮時かと、打ち留めにした次第。



 平成になって、この葉書のやり取りよりも、
メールとか、別のやり方の案も再三浮上したが、
増田さんの「このまま続けましょう」と断言され、
葉書碁はそのまま。


  持ち時間は無制限。参考資料もフリー。
そのような無条件の碁なのに、
やはり「自分の碁」しか打てていない。

 とは言え、お陰で棋力は相当上達してきた。
地域では7段から8段へと昇段した。それにしても、
AIの世界の真似をしようにも難しい。
例えば、ダイレクト三々と打ち込んでも、
後が巧く行かない・・・など。(増田)



50年間連綿と続けた葉書碁は相手あってのこと。
相手は機械とは違う。素晴らしい感情を持った相手。
お互いその二人の出会いが奇跡を産んだ。

お陰で、囲碁の面白さ、奥行きの深さなど、
実感をもって知ることが出来ました。

 因みに勝敗は五分五分のようでした。
ギネスブックものだとも思いますが、申請はしません。
今は死ぬ寸前まで碁を打っていたい気持ちでいっぱいです。