「アルファ碁」 ヒトを制す




世界最強の棋士・イ・セドルが「アルファ碁」に三連敗した。
チェス・将棋に続いて、コンピューターが人間に無常の結論を出した。

                                               2016年3月12日

                                                高野圭介

 
グーグルの持株会社であるアルファベットのエリック・シュミット会長は対局前の3月8日にいみじくも言った。

「どちらが勝とうが結局勝者は人間だ。人工知能技術を発展させていけば
より良い世界になるだろうし、私たち皆に役立つだろう」

つまり、コンピューターはヒトが作ったヒトだ。と言っている。
そう言えば、人は自然人で、会社は法人。共に、経済活動は自由自在。
人造人間はロボット、人間はヒト。危険なところはロボットに任せる。

今でも、コンピューターが勝手に考えて、シミュレーション以上の手を編み出しているという。
もはや、人智の及ばないところにいる部分があるらしい。
コンピューターが人間を変えるか。

 ふと、連想したのが、
「鶏が先か卵が先かに答えて、鶏は卵を産む卵だ」とはマクルーハンの逸話だ。

 


 
 無人飛行機。自動車の完全自動化などにはもはや慣れっこになっている我々も、囲碁で
コンピューターが追いつき追い越すのは10年先というはかない希望的観測が支配していた。

現実に、
市販されているパソコンソフトでは実戦ではどのソフトもそれを裏付ける棋譜を残しているが、
最先端の「アルファ碁」は桁違いだった。全世界の棋友がたまげた今日の結末だった。




コンピューターはヒトが作ったヒトだ。

 
 イ・セドル九段は「負けるとは思わなかったのでとても驚いた」と初めての所感を明らかにした。

彼は実体もなく実力もベールに包まれた相手が見せた一手一手に驚きながら対局に臨んだということだ。
 
 


「序盤の解決能力に驚き、破格の手に再び驚いた」

「アルファ碁は今回のゲームで、美しくも創造的な碁石を置いていった」

 
 イ九段はアルファ碁を開発したグーグルディープマインドに対する称賛も忘れなかった。

イ・セドル九段は「このような驚くべきプログラムを作ったお二人に深い尊敬の念を伝えたい」と応じた。



AlphaGoは今までのコンピュータープログラムに比べ、
強さはもちろんですが美しさも感じさせます。
おそらく局面の要素を簡明にすることと形勢判断が密接に結びついているため、
そのような手を打つのだと思います。
                                     大橋拓文 解説者

 
 ともあれ、速報に関して見、聞きしたことをお伝えする。ニュースは早さが命なんだから。