土佐保子の横顔

                                                       高野圭介



 

土佐保子は文学者であり、特に韓国の歴史の憧憬が深い。
話していても、蘊蓄が湯水の如く流れ出てくる。

高邁で、奥行きの深さは計り知れない。


蘊蓄の一部




宗武志のこと(1)

 
宗 武志氏は昭和天皇のご母堂である貞明皇后様に毎年、
対馬の雲丹を献上されていました。
貞明皇后は九条家の出身です。

宗家とも重縁があり、宗 武志の両親が早くに亡くなりましたので、
貞明皇后の兄が武志の後見人になっていました。

宗 武志にとって貞明皇后に目をかけられるのは心強いことでした。

宗 武志によれば
対馬は貧しい土地だが、雲丹はすこぶる上等のものを産するとのこと。
貞明皇后はとても質素で粗食を食べておられましたが、
この対馬の雲丹だけは、気に入られ冷蔵庫に入れて
毎日少しずつ食べられたそうです。

この対馬の雲丹、一度は食べてみたいものです。

 宗武志のこと(2)

私の持つ宗武志のイメージといえば、
いつもおだやかな微笑みを浮かべておられました。
絵画、書道、詩、文学、英文学、そして道徳教育の講義にもでかけておられました。
本職は大学教授です。


 英語能力は中学校の時から並外れていて、
長崎県下の中学校英語弁論大会では
優勝しています。
後に、東大英文科を卒業します。

 
 宗武志は心の奥底に深い悲しみを抱えていました。
何人も入ることのできない、
又、救うことのできない悲しみを
運命として受け入れていました。



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