へたな人と上手な人

土佐保子の見事なまでの囲碁人生

                                                             高野圭介

へたと上手
弱い人はいっぱいいる。自分よりへたな人はいっぱいいる。
自分より強い人もいっぱいいる。

碁では何段、何級と、棋力を分けているが、微妙な差をランク付けするのに何の基準もない。
ほんとうは上手な組と上手でない(へたな)組と、2分する方が至当であると言われている。

へたは上手の手本  
「へたは上手の手本である」と言われたのは谷岡一郎さんであったか。

あんなへたを打ったらアカンで!と、自戒することが勉強である。
上手な人もへたの支持がなかったら、碁が打てないのである。
つまり、へたからの支持率が下がってくると、打つ場所も相手もなくなる。

一般には
勝ちが増えてきたら、鬼に金棒みたいな顔つきになってきて、態度から言うことも違ってくる。
しかし、負けが混んでくると、誰しも精神的におかしうなりかけるものだ。
それを精神力で、ヘッジして、すべての難敵に立ち向かうなんて、尋常のことでは出来ない。

將碁友の会
今、將碁友の会で、碁吉会のリーグ戦をやっている。
EリーグとGリーグと2つのリーグ戦で、弱い組と強い組である。

2006年4月から始めて、もう満4年が過ぎた。
最低のどん尻の席は誰かが務めるのは仕方ないことだ。

東大にもアホがいると、言われる。
これは嘘で、ランキング・テールエンドのことを指していると思っている。


気持ちの持ち方


土佐保子



Eリーグにいる
土佐保子という碁を打つ素晴らしい女性と知り合って5〜6年にもなる。
きっかけは
宗 武志の話からだった。

詳細は・・・私が「神と人の薔薇の論」
ー緑の反射の中で薔薇の花を論じるマ・ウーベルー   宗  武志
を碁吉会ホームページに記載したことからである。


彼女は京都のある碁会所に所属しているが、
上手な人からは相手にして貰えないという悩みがあった。

それが、Eリーグに入って、上手な人に打って貰う喜びは何ものにも換えられない。
負けることなんぞ、一切問題にしない。気持ちの持ち方が違うのである。



対局後の感想
因みに対局後の彼女の感想を紹介しましょう。

「今夜はありがとうございました。楽しかったです。大石を取られるといけませんね。
有段者の方達ばかりですのに、級位者の私に気持ちよく対局して下さるのがうれしいです。
普通でしたらイヤがられても当たり前ですのに。
せっかくのありがたい機会を大切にしたいといつも思っています。」

この4年間、この姿勢を貫いてきた彼女は級より段へ質が変わってきた。
ここにきて、2010年7月は
6勝2敗と、ようやく勝ち星が先行しかけた。

本人が嬉しいのは言うまでもないが、ずーっと見守ってきたこの私が嬉しくてならない。


へたの見本


高野のテニス


私自身はテニスでは、テールエンドの席を汚している。

身体が動かない上に、転んで怪我してはお終いでもあるからだ。
・・・いいえ、ほんとうは巧くできないのを、この様に慰めているに過ぎないのだ。
否、へたでも、同じコートに立てる喜びを享受しているのがほんとう。

でも、一つだけ、
サーブは動体視力とな関係なくする動きだから、サーブだけは屁理屈の範疇にはない。
へたの独り取っ組める唯一のジャンルだ。そう思っている。

とは言え、どこまで行ってもへたにはへたの悩みがある。
上手な人にボールを打って貰えない。いいえ、強い球は打てないのである。
ど素人がプロ野球のバッターボックスに立ったのと同じだから。
ああ、これは悩むこと自体次元の違う話だ。