羸 と 赢 (Ⅲ) どう考えましても、「羸」と「贏」が「負ける」と「勝つ」であるならば、 虫眼鏡で確かめないと常に勝敗が逆になりうるというのは戴けない。 その不自然さだけは残ります(末尾参照)
高野圭介 |
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输羸とか、「盤数勝赢」などを辞書で調べました。 羸は辞書では部首が羊でピンインléi、つかれる、よわい、よわる、やせる、柔弱・・・などの意味。 赢は部首が貝で、赢(贏)】ピンイン yíng。意味は、あまる、利益を得る、勝つ、勝利・・などなどである。 調べた辞書と余り変わらなかった。 |
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中国から羸に「負ける」という意味はありませんと、連絡がありました。 |
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裏書きの文字が貝の「盤数勝赢」ならば、それはありませんね。 したがって、裏書きの文字が羊の「盤数勝羸」ならば和訳はどうなるのでしょう。 多く打てば勝ったり負けたり。 これは意訳としても相当飛躍しているなぁと感じます。 どこからこのような和訳が出来るのでしょうか? 多く打って、勝ったけれど、碁が弱くなった・・・のではなく、 多く打って、身体が疲れたというなら、分からぬことでは無い。 言葉って、難しいものですね。 |
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訂正について、週刊碁課の見解が以下のように手元に届きました。 「羸」の字の意味についてですが、 私どもが参考にいたしました新漢語林(大修館書店)によりますと、 ①やせる ②つかれる。やみつかれる。弱る。また、弱める。 ③悪い。粗末。おとる。 ④やぶる。やぶれる。 ⑤からむ。からまる。まとう。 となっております。 はじめに掲載しました「贏」の字とは反対の意味でしたので、 訂正の時には④のやぶれるの意味として掲載いたしました。 察元の手による裏書きの詩に関しましては、「超訳」でございますので、 多少の誤訳などあるかもしれませんが、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます 日本棋院出版部編集室週刊碁課 |
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ことの初めは、「羸」と「贏」の字がじずらが余りにも似通っていましたので、 区別が付かず、私がたいへんな誤りをしたのがそもそもの問題でした。 広大な中国で、悠々歴史のある中国では見当も付かないこともあるでしょう。 「羸」と「贏」の問題もきっとそうでしょう。 こと古り、時代を遡れば、あるいは、ところ変わり、ある地域では やぶれるを(衣装など弱ってきて)破れるに使ったり、転じて敗れるに ニュアンスが変わったりすることもあったかも知れません。 誰も分からぬことばかりです。 とは言え・・・ どう考えましても、「羸」と「贏」が「負ける」と「勝つ」であるならば、 虫眼鏡で確かめないと常に勝敗が逆になりうるというのは戴けない。 その不自然さだけは残ります。 すべて了解しましたので、今後ともよろしくお願いします。 高野圭介 敬白 |