模様が先か地が先か?

                                                 高野圭介


 「模様が先か地が先か?」について、以下のように申し上げた。

「地は模様を霧散させる模様だ。」「模様は地を造る地だ。」

全体のバランスの中に一貫性を要求される。

この話に、
「訳のわからんことは言うな!それはいったい何じゃ?」
こういうお叱りを受けた。


それには、それだけの裏付けがある。

地は模様を霧散させる模様だ
第一図(加藤剣正作)の星に三三入り(14〜22)について、
加藤剣正本因坊は24から動いて、いろんな変化はあるが、
いずれも白よしと断定する。

本来、趙治勲九段得意の芸だが、趙治勲自身、
「三三に打ち込んだ白は時が多くて、厚い。」と喝破する。

つまり、隅からの模様とさえ思っているぐらいだ。


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模様は地を造る地だ  
第二図。1938年、本因坊秀哉に木谷実が対戦した名人引退記念碁

黒47と、後手で打つのは遅れているようで、打ちにくい手だが、
しっかり板にツイだ姿は猛烈に厚い模様で、背中が地化してもよい。

しかも、攻めの投資でもあって、将来はどこかに地を付けるであろうと。


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地と模様の関係
人はそれを戦略・戦術といい、あるいは棋風という。

思うに任せない点もあるが、地と模様の関係は依って件の如し。