北島隆也(俳号:寸山)さんとの「刻の陣」と吟行




「醍碁味」碁吉会編 p.38 より



 
2000年 ボウクリ会

 
星の座 北島寸山翁の愛した星:Sternenzert


星・Sternenは囲碁の夢を見え隠れしながら駆け巡る。


                                                  高野圭介


北島さんと碁を打って、何年間のお付き合いであったろうか。
特に記憶に新しいのは「刻の陣」である。1997年、北島さんは句集「星」を上梓された。

その「星」発刊記念と銘打って、祝賀碁会を催した。命名して「刻の陣碁会」である。
以降、春秋二回定着して、何年ぐらい続いただろうか。

やがて、2006年、京都で碁吉会の「都踊り大会」が催されて、碁吉会の主たる活動の場が
大阪から京都に移った頃にはもう無かったように思う。

 


北島寸山吟

十句寸山自選

 
蝉暑し一病の身の置き処

 
夕蝉やこのとき病む身諾(うべな)へり

 
虫ひとつ眼で追ふている薔薇の園

 
曼珠沙華野に散らばふと我が時間

 
台風の後の山見る明日退職

 
朝曇り最後の通勤電車待つ

 
碁の正座山より貰ふ植田風

 
碁に負けて肌身に秋の一人言

 
温かやどの木も直ぐな桐畠

 
人生に焦りはなきか熟し柿


 





高野圭介吟詠

1900年代の詠句十二句  北島寸山選


・・・「宍粟の碁」のあとがきに・・・

八朔や朱を入れ染めし稿措けり  圭介


・・・「醍碁味」のあとがきに・・・

キィ叩く指の鬱血空け易き     圭介


神戸地震


露天風呂大風呂敷のオリオン座


生きてるよない(地震)三日目の寒電話


比叡山紀行


名水の汲み上ぐ朝萩百株


揺らぎいる羅(うすもの)の影護摩を焚く


韓国旅行


石崫の水打つ門の旅初め


落崖に散華のチョゴリ酔芙蓉


信貴山行


葉牡丹の薹(とう)立たむとす信貴の山


棚かすみ金運如意と護摩を焚く


世界旅行


ゲルニカに反戦の秋ピカソ立つ


マーブルの秋ギリシャ鼻ローマ鼻


水琴窟


藪椿漏れ日に仁王の歯の白し


花びらの水琴窟に滑り込む